香港・金鐘(アドミラルティ―)にある「アジアソサエティー香港(Aisa Society Hong Kong)」 (9 Justice Drive, Admiralty, Hong Kong)で現在、バロック期のイタリア人画家ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggioo)の代表作1枚が公開されている。アジアソサエティー香港と在香港イタリア総領事館による共催。
金鐘(アドミラルティ―)駅から山側に向かって坂道を上り、小高い丘の閑静なエリアでありながら、眼下に木々の隙間から金融街のビル群を臨む景色が楽しめることで人気がある同施設は、NPO「アジアソサエティー香港」が元英国軍の弾薬庫だった倉庫を買い取って2012年にオープンしたもの。現在でも弾薬を運ぶためのトロッコが通った線路の跡を見ることができるなど、隣接のレストランを含め人気のスポットとなっている。
同施設内アジアソサエティーギャラリー (Former Magazine A)で展示しているカラヴァッジョの名画は「Supper at Emmaus(エマオの晩餐)」。ミラノのブレラ美術館所蔵の作品をガラスキャビネットに入れ、温度22度、湿度55%の状態を保ちながらイタリアから香港に運ばれた。
カラヴァッジョ(1571-1610)は、濃い影で囲まれた対象に光を当てるという手法でバロック絵画に革命をもたらした画家。光の効果と劇的な場面構成、精緻な写実的表現を使うことで知られ、ルネサンス以降、その影響力から抜け出せずにいた絵画界に新しいスタイルを確立したともいわれる。実生活は激しい気性のために生涯を通して不祥事が途切れず、殺人まで犯し、逃亡生活の末に38歳でこの世を去った。
同作品は宗教画で、主題は復活の日に2人の弟子がエマオに向かうところキリストと出会い、キリストだと気付かないまま夕食を共にするが、食卓でパンを分け祝福する姿でキリストであることに気付く場面を描いているといわれる。
同タイトルの作品が2つあるが、今回の公開は後期の作品。逃亡生活中に描いたもので、色彩に乏しく、地味でありながらも、より伝統的な構図を用いて描いたカラヴァッジョの代表作になっている。光と影の絶妙なバランスに対する評価の声が高い。
期間中の開館時間は9時~21時(センターへの入場は20時まで。ギャラリーへの入場は20時30分まで)。入館無料。4月13日まで。