香港政府運輸及物流局の陳美寶(Mable Chan)局長は1月30日、公共バスなどに1月25日から課していたシートベルト着用義務について技術的に不十分な点があることから関連条文の削除をすると発表した。路線バスのみが対象となる予定。今後は、必要分の削除を含めた関連条文を整理し、改めて改正案を立法会に提出する考えを示した。関連当局も「正式に削除される前に、条文に基づく法の執行は行わない」とし、路線バスについて再法制化されるまではシートベルトを着けなくても違法行為として問われることはなくなった。
香港でのシートベルト着用義務は、1983年の1983年10月にプライベートカーの運転席と助手席においての着用義務化から段階的に適用範囲を広げてきた。1月25日に運用が始まったこの法律は、「シートベルトを着用することで乗客の安全性を高めると同時に交通安全意識を高めることを狙った制定された」と政府。2021年11月に大圍(Tai Wai)の高速道路で死者1人、受傷者11人を出した交通事故が、法制化への研究を始めたのが大きなきっかけの一つとなった。
ところが、運用開始から4日後の1月29日10時ごろ、795Xの城巴(City Bus)に乗っていた乗客が長沙湾で降りようとしたところ、シートベルトが外せなくなる問題が発生した。報告を受けた運転手は、まず最寄りバス停に停車し、バス会社の運行管理センターに連絡。うまく外せないことから警察と消防に救助を求めた。消防隊がバスに到着し、無事、シートベルトを外すことに成功したが、乗客が外せないと訴えてからシートベルト解除までの所要時間は約16分だった。原因は、シートベルトのバックル内部にアルミ箔(はく)の紙が詰め込まれており、それが離脱時に引っかかったためだった。現在、警察は詳しい調査を行っている。
この報道に加え、香港市民の間では路線バスでのシートベルトの着脱は負担であること、特に2階からシートベルト外して下車する場合は、大きな負担になっていたことから、不満の声が高まっていた。条文の一部は、詳細が書かれいないことが影響して、法律の施行に混乱が生じたことから、政府は条文の削除に動いたものと見られている。
政府当局は、正式に削除される前に、条例に基づく法の執行は行わないと発言したほか、再法制化を目指すものの、そこに向けてのタイムテーブルについては言及していないことから、当面の間、路線バスでシートベルトを必ず着ける必要はなくなった。ただし、1月25日から法制化されたスクールバスや、それ以前に法制化されているミニバスなどに関連する条例は、継続して適用される。