香港故宮文化博物館(HKPM)が九龍バス(KMB)と連携し、3月7日、古代エジプトをテーマにした「法老猫バス(九巴法老猫號)」の運行を始めた。ペット同伴が可能な路線を含む10台のバスが1カ月限定で香港内を走行し、特別展「古埃及文明大展(Ancient Egypt Unveiled)」を盛り上げる。
香港では公園やレストランでもペット同伴で楽しむ場所が増える中、同社が展開する「ペットバス」は、ペット同伴で乗車できる香港初のサービスとして人気を集めている。現在は5路線に拡大し、西九文化区を中心にGO PARK西沙、啓徳のAIRSIDE、灣仔のプロムナード、ディスカバリーベイ(愉景湾)などのペットフレンドリーなスポットを結ぶ。初年度には既に2万回以上の利用もあり、ペットがいる家族のコミュニティーの新たな移動手段として定着してきた。
今回の企画では、開催中のエジプト展の人気キャラクター「法老猫」とKMBのマスコット「KMB Boy」を車体に描いた特別デザインバスを運行し、博物館外でも古代エジプト文化に触れられる機会を提供するもの。車体にはピラミッドやスフィンクス、青いカバ、ヒエログリフなどが描かれ、視覚的にも強いインパクトを放つ。
HKPMの古代エジプト展は、エジプト考古学最高評議会(SCA)と共同開催し、巨大石像、彩色・刻銘を施した石碑、ミイラのひつぎや仮面、宝飾品、日用具、動物ミイラなどを含む250点の貴重な遺物を展示し、香港で過去最大規模となる古代エジプト展として多の人が訪れている。今回のバス企画は、展示の魅力を街へ広げ、文化体験を日常の移動と結びつける試みで、西九文化区は年間1000以上の公演・展示を開催し、1000万人以上が訪れる香港の文化観光拠点であることから、KMBとの協業により同区を中心とした回遊性を高める効果が期待されている。
運行路線は、観光向けオープントップバス「HK1」、西九龍を起点とする「ペットバスツアー」、高鉄西九龍駅と尖沙咀を結ぶ循環路線「W4」、そして將軍澳の住宅街である尚徳と九龍駅を結ぶ「296D」の4系統。いずれも西九文化区(WestK)を通過し、文化観光と交通を結びつける導線として機能する路線である。
車内には、香港の文化スポットと古代エジプトの文物を対比させた装飾を施し、食文化、伝統習俗、文字体系などの共通点を紹介。移動しながら学べる仕掛けを随所に盛り込み、観光客だけでなく地元住民にとっても新鮮な体験となるよう企画した。
加えて、香港全域の100カ所以上のバス停には、ヒエログリフ・繁体字・英語の3言語で構成されたデジタルポスターを掲出している。HK1沿線の文化スポットを巡る「香港アートシーン深掘りルート」と、歴史的建造物を巡る「香港ヘリテージ文化ツアー」の2つのテーマを提示し、まち歩きと学びを結びつけた。
3月は香港では「アート月間」であることから、HKPMとKMBは特別展チケット500枚を、KMBアプリ「APP1933」のポイント(eCoins)で交換できるキャンペーンも行う。
HKPMの呉志華(Dr Louis Ng)館長は「古代エジプト文明を香港の日常に織り込み、より多くの市民がその魅力に触れられる機会を創出した」と話し、文化観光の裾野拡大に意欲を示す。KMBの張詠恩(Emily Cheung)商務総監は「九龍バスは93年間、香港の『都市の心臓』として市民と共に歩んできた。今回の取り組みは、公共交通網を活用して文化・芸術・観光の発展に寄与するもの」と話し、企業としての社会的役割を強調する。