ウォルト・ディズニー社はフロリダとカリフォルニアに続き7月1日、香港のパーク内での自撮り棒の使用を禁止した。東京ディズニーリソートは自撮り棒のほか三脚など撮影補助機材の園内での使用はすでに禁止している。
ディズニー側は禁止の理由として、「来園客およびスタッフ、キャストの安全のため」とした。これまでも乗り物での使用は禁止されていたが、カリフォルニアのパーク内で自撮り棒を取り出した客がいたためジェットコースターが緊急停止するなどのトラブルが発生していた。今後、持ち物検査で荷物に自撮り棒が見つかった場合は車やホテルに戻り置いてきてもらうか、スタッフが預かることになる。
香港ディズニーランドは2005年9月に開業し今年10周年を迎える。鳴り物入りの開業だったが、オープン直後にスタッフのサービスなどの質が良くないとうわさされたことや、各国のディズニーランドと比べて規模が小さかったことから、観光客を引きつけるには十分といえず経営に苦しみ、黒字化するのに7年かかった。2014年度の売り上げは前年比12%増の54億6,600万ドルで5年連続の増収。純利益は同36%増の3億3,200万ドルだった。年間入場者数は750万人に上り累計入場者数も5000万人を突破。ホテルの客室稼働率は93%と前年の94%から1ポイント下がったが高い稼働率を維持している。職員は正規雇用が5100人、パートタイムが2700人で2017年に開業予定のホテルでは600~700人を採用する計画だ。
2016年後半には「アイアンマン」をモチーフにディズニー初のマーベルのテーマエリア「アイアンマン・エクスペリエンス」を新設する予定。現在「アナ雪」をテーマにした各種イベントが8月30日まで開催されているが、10周年を記念するイベントについての詳細はまだ発表されていない。
経営も軌道に乗り、新アトラクション建設など近年は好調の香港ディズニーだが、懸念材料は2015年2月の開園予定を2016年に延期すると発表した上海ディズニーランドだ。上海ディズニーの敷地面積は3.9平方キロメートルでテーマパークは0.91から1.16平方キロメートルを予定している。一方、香港の敷地面積が最大に拡張して1.8平方キロメートル、パーク部分は0.27平方キロメートルであることから、テーマパークの部分だけでも3~4倍近い差がある。中国本土の市民は、規模が大きくパスポートの取得がいらない上海に行くことが予想されるため、10周年を迎え香港ディズニーは中国本土以外の観光客をどう取り込むかに焦点が集まる。