4日間にわたって開催された「第4回日本香港国際音楽コンクール」の授賞式が7月20日、沙田大會堂で開催された。主催は日本香港音楽協会で、受賞者の家族や関係者が見守る中、授賞式に加え各部門1位を獲得した受賞者は会場で演奏を披露した。
同コンクールはピアノ、バイオリン、フルートを学習する人を対象にヤングアーティスト、プロフェッショナルの2部門に分けて実施。香港人を中心に、日本、台湾、マカオ、シンガポール、インドネシアなどから昨年同様320人ほどが参加した。コンクール受験はそれぞれが規定時間内で自由曲を演奏し、受験者の年齢に応じた音楽性、技術習熟、基本的マナーを審査対象として、絶対評価で賞を授与するため、技術力だけが評価される傾向があるコンクールと一線を画す。
会場で演奏を披露した受賞者は、家族や関係者が見守る中、リラックスしたムードで演奏した。審査員は「回を重ねるごとに驚くほどレベルが上がってきた」と声をそろえる。感情を込めようとオーバーな動きも見られた過去の会と比較しても、自然な動きで音を捉え表現をする参加者が多かったといえる。
特にジュニアの部のレベルが大きく飛躍し、10歳くらいまでの人が多く参加するジュニア2部門では全部で5人に第1位が授与された。ジュニアA部門で金賞を獲得したリー・パーク・ユー・ジェシューくん(7)は1日に1時30分~2時間程度の練習をしてコンクールに臨んだと言い、質の高い取り組みで金賞を勝ち取った様子がうかがえた。
同コンクール実行委員長の碓井俊樹さんは「決して大きなコンクールではないが、技術だけでなく、音楽に向き合う姿勢までもが評価対象となる」と審査基準をあらためて説明する。「弾き方一つでも、力強い演奏を披露する学生はアメリカで勉強した方がいいなとか、ロシアのショスタコーヴィチを演奏した学生は将来性もとても感じられるが、香港にいたまま評価をされるのは難しいかもしれない」などと同コンクール開催の意義を語る。「当コンクールに興味を持つ音楽関係者もいるため、今後も香港と日本という軸はぶれずにヨーロッパなども巻き込んだ企画にしていきたい」とも。次回開催の第5回を控え、今後も他のコンクールとの連携を図りながら運営していくつもりだという。
同コンクールでは、入賞者に第16回大阪国際音楽コンクール・ファイナルラウンドへの出場権や東京音楽大学の交換演奏会への招待など、ほかの演奏会での出場権利を授与した。