香港政府観光局は8月5日、プロジェクション・マッピングショーである「香港パルス3Dライトショー」を尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の香港文化中心(Hong Kong Cultural Centre)前のオープン・ピアッツァでスタートした。昨年好評だったことから2016年も規模を拡大して行う。
香港ではビクトリアハーバーで毎日20時から光と音楽のショー「シンフォニー・オブ・ライツ」が香港島の高層ビル群が中心に展開されている。これに加えて行われる同ライトショーは尖沙咀の文化中心と、その横にある時計塔にレーザーやライトを照射して、さまざまな色やデザインにライトアップし幻想的な世界をつくり出す。担当するのは、アテネとバンクーバー五輪の開会式で演出を担当したドイツのShowlaserだ。DJによる音楽も加わり、ライトショーをより盛り上げる。
時間は20時20分、20時45分、21時15分、21時45分の1日4回。28日まで各回約8分間のショーを毎日展開している。
「100万ドルの夜景」をより華やかにするような光のショーが増える一方、夜景を支えてきたど派手な巨大看板に変化が見られる。日本経済が好調な時は、今では考えられないほどビクトリアハーバーに日系企業の広告が多くあった。2階建てバスの天井ギリギリの高さに設置され、歩道を超えて自動車道路の上にまでせり出すタイプも香港の象徴だった。しかし、今では、こうした看板は減りつつある。
大きな理由は、多くの看板が違法に設置されているからだ。ビルの老朽化も進み、落下した場合に大きな事故につながる可能性がある。今まで放置してきたことは、歴史的に香港がレッセフェールであったことも間接的に関係しているが、現在、香港政府は小さな政府から大きな政府に方針を変換しつつあり、社会が成熟した。香港政府は今後、合法的な看板については5年ごとに安全チェックを受けるか、看板を除去するかのどちらかを当事者に選べるようにした。
違法看板については2014年に深水●(Sham Shui Po)の福栄街(Fuk Wing Street)にあった117の看板について撤去命令を発令し、18の看板については撤去通知を送付した。2015年は上環(Sheung Wan)の永樂街(Wing Lok Street)、銅鑼湾(Causeway Bay)の渣甸街(Jardine’s Bazaar)、油麻地(Yau Ma Tei)の●蘭街(Portland Street)、深水●の大南街(Tai Nan Street)、九龍城(Kowloon City)の南角道(Nam Kok Road)でも撤去活動を実施した。2016年は6月までに400以上の看板について撤去命令をだし、195の看板については、違法や危険として強制撤去に踏み切った。今後は湾仔(Wanchai)の譚臣道(Thomson Road)、北角(North Point)の七姉妹道(Tsat Tsz Mui Road)、佐敦(Jordan)の廟街(Temple Street)、旺角(Mong Kok)の●蘭街(Portland Street)、●湾(Tsuen Wan)の川龍街(Chuen Lung Street)、上水(Sheung Wan)の新發街(San Fat Street)の6カ所で違法看板の調査が予定だ。
このように新しい光のショーが発表される背景には、香港の夜景を長年にわたって形成し、「香港名物」ともいえる看板が徐々に消滅している。
深水●=土へんに歩 ●蘭街=石へんに本、●湾=草かんむりに全