香港の灣仔コンベンション&エキシビションセンターで8月11日、食品見本市「フードエキスポ2016」が始まった。
2万人のバイヤーが訪れるといわれる同エキスポで、日本貿易振興機構(ジェトロ)は大型のジャパンパビリオンを設け、「味わおう 日本の”味力”」を展開する。出展団体は合計251の企業と団体、パビリオン以外で出展する日本企業と合わせて320にも上り、過去最大規模。畜産品、青果物、菓子、花き、日本酒、日本茶関連など種類は多岐にわたる。1400社にも及ぶ全出展社のおよそ4分の1が日系企業で構成される。
日本政府は2006年、農林水産物および食品の年間輸出総額を2020年までに1兆円にする目標を掲げ、近年積極的に海外での商談活動を行う。2016年の日本農林水産省統計によると、昨年、日本の農林水産物および食品の輸出総額は3年連続で増加し、最高記録の7,452億円に達し、1年早く中期指標の7,000億円を超えた。その中で香港は総輸出額の約4分の1を占め、11年連続で日本の農林水産物の最大輸出地となり、昨年の輸出総額は前年比33.5%増の1,794億円に達した。今年5月31日までに、香港への日本食品輸出量は既に667億円に達し、中でも加工食品、水産物および牛肉の輸出は第1位となっている。
山本有二農林水産大臣は「日本の農林水産額は世界10位。しかし輸出額で見ると60位。10位の実力はあり、香港市場にもっと日本食材を買ってほしい」と訴えた。「熊本から9事業者が出展し、東日本大震災の発展途上にある地域からの出展もあり、日本産食品の輸入規制緩和についても香港側に要請をしている」とも。「日本人以上に抗生物質のようなものが魚の餌に混ざっていないことへの願望を感じる。自然なものを取り、人工的なものを避け、環境の良いところで作られたものに対する評価が高い。海水面、自然環境、水質、餌などについても万全の態勢が必要だと感じる」と市場を分析する。
ジャパンブースの中でひときわ目立った自治体の一つ、鹿児島県は、鹿児島相互信用金庫、指宿市、枕崎市、南さつま市、南九州市、南大隅町の4市1町で構成される協議会など35社が出展。香港でもシティースーパーで焼酎や梅酒を販売する佐多宗二商店は、同社の持つイタリア製の釜で蒸留し、ブランデー感覚に近い商品を開発している企業。新商品の芋焼酎で作られた焼酎ミストをマンゴー、レーズン、バナナ味で開発し、香水のようなボトルに入れて試験的にテーブルに並べ、アイスクリームやヨーグルトにもよく合うという同商品の海外での反応を確かめていた。指宿市の担当者は「本枯節のふりかけ」を「香港のおかゆにかけると香りにも高級感が出て味わい深くなる」と、具体的なイメージを伝えてアプローチ。「鹿児島の良いところは、それぞれ違う食材であっても連携しやすいところ」と横のつながりの強さを話す。一方で、「ネックは決済。輸出に関しては国内のインポーターと話すが、その情報だけしかないという状態よりは、自分たちでマーケットを見て、その土地にあったオリジナル商品、オリジナルパッケージを開発し、独自のルートも開拓する」という声も聞かれた。
開催時間は、トレードホール=10時~18時(最終日は17時まで)、パブリックホール=10時~22時(同18時まで)。トレードホールも13日は一般公開する。パブリックホールの入場料は、グルメゾーン=40香港ドル、一般チケット=25ドル、18時以降のナイトチケット=10香港ドル。今月13日まで(一部は15日まで)。