建築設計やコンサルティング業務を手掛けるオランダのアルカディスが10月30日、交通レポート「SUSTAINABLE CITIES MOBILITY INDEX 2017」を発表し、香港が65.3%で、交通機関システムで世界ナンバーワンであるとの見解を発表した。
交通機関は鉄道、地下鉄のみならず、高速道路、バス、フェリー、自転車などさまざまな手段がある。アルカディアでは、アクセスの良さや接続、バリアフリーなど10分野を評価する項目「人」、大気汚染、交通車両の電気自動車化(EV化)、自転車のライドシェアなど7分野から成る「プラネット」、所要時間、収入における交通費の割合など6分野で判断する「プロフィット」という、大きく分けて3項目、計23分野について世界100都市で評価した。
トップ10では、1位の香港に続き2位になったのはチューリッヒの65%。3位はパリの64.5%だった。以降、ソウル、プラハ、ウィーン、ロンドン、シンガポールとストックホルム、フランクフルトと続く。東京は13位、深センは19位、マカオが39位だった。
香港を項目別で見ると、人=1位、プラネット=53位、プロフィット=6位だった。特に人では80%超えを果たした唯一の都市だった。東京23区の約2倍という面積に対して人口は約730万人と世界的にトップクラスの人口密度である香港。使える土地は限られているにもかかわらず人口が今でも増え続けており、中国とも交通面でもよりつながりが強くなっており、全体としてユニークなチャレンジをしているとした。
香港国際空港(HKIA)は2つの滑走路で2016年は年間7050万人の乗客が利用し、収容能力の99%を使い2024年に完成予定の第3滑走路などの建設を進めていることも評価。香港-マカオー珠海をつなぐ香珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macau Bridge)についても言及し、アクセスは良くなる一方で線路は引かれていない点や環境への影響もあると述べ、これについては正と負の部分の両面について評価している。世界有数の貿易港であるため、船などの行き来が多い点が環境に良くないとし、これがプラネット面での評価を下げている。
公共交通機関では1日1260万人が利用し、移動する人の9割が公共交通機関を利用するとした。特にMTRは効率の良い交通システムで、かつ料金が低く抑えられていると高い評価を得ている。自動車の所有は5人に1人以下であるが、土地が小さいことゆえに自転車の普及は低いという事情は理解できるとも述べている。
自転車は環境にやさしいことからヨーロッパでは非常に重視されており、この辺りの評価はまさにヨーロッパ企業らしい視点ともいえるが、香港はミニバスを含め多彩な交通機関があるため、自動車が無くても自由に安く移動できることから、総じて高い評価を得たようだ。