ラーメンチェーン「山頭火」は香港4号店目となるツェンワン店を9月16日、ツェンワンプラザ(315 ,4-30 Tai Pa Street, Tsuen Wan Plaza)にオープンした。
現在日本国内では本拠地の北海道、関東を中心に全国26店舗、海外はアメリカ、カナダ、香港、台湾をはじめ9カ国に進出を果たし、今回の新店舗で海外24店舗目を数える。
香港内は太古、尖沙咀、沙田に店舗を構えるが、新店舗は1900スクエアフィートの店内に60席を設け、一部はL字型の2人掛け用シートを用意するなど、スタイリッシュな印象に仕上げた。
2日かけて作るとんこつベースのスープは、しお、しょうゆ、みそ、辛みその4種類を基本に展開してきたが、日本で人気の「しお」に対して、香港では「みそ」、「辛みそ」が注文の5割以上を占める。また丼物とのセットがオーダーの60%を占め、7月には香港限定の「海鮮らーめん」がヒットするなど、日本と異なる傾向も見られる。
ラーメン約20種、その他単品、セット、飲み物など合わせて約100種のメニューで展開するが、同チェーンは地域、店舗ごとに限定メニューを用意するのも特徴の一つ。
新店舗では、「ローストビーフらーめん」(120香港ドル)、「もつ煮らーめん」(100香港ドル)などを用意した。「もつ煮らーめん」は、もともと日本国内でも関西地区では受けが良かった商品の一つ。豚のモツ(ハツと大腸)を使い、モツを煮込んだ煮汁でタマネギを煮て、ラーメンと別に小皿で提供。顧客の好みでモツや煮汁を入れながら楽しむ一品だ。
また新店舗夕方限定のみで提供する「サザエ食品」のおはぎが付くラーメン小サイズとのセット(58香港ドル)は、同店とハワイの新店のオープンに合わせて商品化したもので、来月から展開予定。
山頭火は2003年に香港進出を果たしたが一度撤退。その後直営という形に仕切り直して2008年に再進出を果たした背景がある。香港にも多くのラーメン店が出店する昨今、味を守ることは容易ではなく、「直営」による品質管理が大切だと判断した。
オープンに際し来港した菊田伸一社長は「数だけ出せば良いものではない。一番大切なことは来てくれたお客さまの反応」と、顧客視点であることを柔らかな口調と真剣なまなざしで強調。「現地で調達できるものに疑問が残るときは、原価率を大きく上げても日本から輸入する。これまでも各店舗オープンのタイミングでお店が安定する1年、2年の間は、日本から輸入した麺、食材も在庫を抱えながら、日本で提供するものと同じレベルが出せないと判断した際にはすぐ切り替えられるようにしてきた」といい、そこには目に見えない準備が常にある。
今後も積極的に海外店舗展開を進め、欧州やオーストラリアへの出店も視野に入れ、2016年末までに海外店舗を50店舗体制にまで広げることを目指す。