京都三条に本店を構え、お茶の製造・販売や菓子の製造、カフェの運営などを手掛ける「京はやしや」は10月8日、海外1号店を銅鑼湾のハイサンプレイス6階(603-604)に海外初店舗となる香港店(TEL 3580-8138)を開店した。
同社は1753年(宝暦3)年、初代林屋新兵衛が加賀・金沢の地で創業したのが始まりで、明治の初め、良い土・清い水と川霧に恵まれた茶どころ・宇治に茶園を開いたという。その後、「お茶は飲むだけでなく、茶葉そのものを食することで、茶葉に含まれる豊富な栄養を丸ごと摂取できる」という考えの下、お茶を使ったフードメニューや甘味メニューを開発してきた歴史がある。
香港店は、化粧品や衣料をはじめとする女性をターゲットにした商品などが並ぶフロアにカフェのみで展開し、座席は30席を用意。2人掛けや4人掛けを中心にしながらも、店舗内に茶室の要素を表現したいと、天井から目の高さくらいまでを障子が囲い、特別な空間を演出する2人掛けの席を2つ設置した。もともと同社のファンだったという香港人からのアプローチにより香港企業主導で出店にこぎ着け、同社が香港展開の協力体制を敷く。
メニューは日本で展開するものを踏襲し、「抹茶わらび餅」(78香港ドル)、「特製林屋あんみつ」(88香港ドル)、「宇治茶氷」(98香港ドル)など。香港限定メニューとして、8層になった「香港限定パフェ」(98香港ドル)や、ハーフサイズのパフェとドリンクのセットメニュー(88香港ドル)も用意した。香港限定パフェは香港側の希望でメニュー化したもので、下の部分はあんみつの要素、その上にいちごなどのフルーツ、白玉、あずきなどを重ね、抹茶ソフトに抹茶わらび餅を添えたもの。食感が異なる素材を融合することで満足感を得られる一品に仕上げた。スタッフにもほうじ茶は好評で、抹茶が一般化している香港にほうじ茶を仕掛けていこうと、かき氷メニューのページに「ほうじ茶氷」を大きく載せた。
温度を保って輸送してもその場で作る新鮮さにはかなわないことから、香港で使用する環境を想定しながら日本に食材を送るなどして実験を重ね、香港では水を何十種類も試すなど、本来の味をできるだけ表現するようにした。同社の樽栄総研さんは「日本と違うのは、ただかき混ぜればよいと思ってしまうところ。スピード重視のため、つやや照りを見て判断できるようになるのには一苦労」としながらも、「きちんとわらび餅の様子を見ながら作ったものと適当に混ぜたものを食べ比べさせると、どちらが本物か分かる舌は持っている」と期待を寄せる。
営業時間は11時~22時。