JA全農は在香港日本総領事館が主導する「日本秋祭 in 香港」の一環で、オーシャンパーク内で日本食材を扱う「日本秋祭」を開催し、11月23日にはシーズンに入り香港内の各スーパーでも山積みされるリンゴを手に三村申吾青森県知事も訪れた。
三村知事は、ねぶたの跳人(はねと)の衣装をきたスタッフとりんごを売り込む
今年事務所と現地法人を設立したJA全農がオーシャンパークと手を組むことで、日本産食材が園内の食の質を高め、中華料理にもふんだんに採用する企画が実現した。園内噴水広場近くに専用のキオスクを設け、12月2日まで、宮崎県産サツマイモをふかした焼き芋、鹿児島県産の牛肉や宮崎県産の鶏肉を使ったバーガー、黒豚を具にしたおにぎり、秋田産の桃豚の串、鹿児島和牛の串などを販売している。香港は食べ歩きの文化もあることから、テストマーケティング的な意味も含めてメニューを決めた。
大きな水槽を横に食事を楽しむことができる園内の人気レストラン「ネプチューンズ(Neptune's)」で、ミシュラン星付きシェフの陳国強シェフが考案した中華のコースメニューも提供している。日本酒と中国酒両方を使って味付けしたアワビ「夢,醉海洋(花雕清酒浸鮑魚)」、豚とナマコを煮込んだスープ「瑪●燉海参湯」、東北のブランド豚を使った中華風茶碗蒸し「松茸桃豚肉蒸水蛋」、黒酢で煮込んだ和牛メニューの「慢煮黒醋A5和牛肋肉配玉子包」、もち米のチャーハン「臘味糯米飯併紅焼桃豚●」、南水梨を使ったデザート「雪蓮子燉日本梨」をコースメニューとし、ディナー時のみの、16時30分~21時30分(628香港ドル/人)3月まで。
JA全農の金築所長は「産地への愛着は観光が一番。香港人が現地を訪れることが、日本産品を選んでいただく近道」と説くが、香港市場でも販売の主力である果物の中でちょうどリンゴのシーズンであることから三村県知事も会場を訪れ、ねぶたの前で来場者にリンゴを配るなどして会場を沸かせた。香港では赤いリンゴよりも王林などの青いリンゴの方が販売実績がいいことから、自前のアロハシャツも青リンゴバージョンを身に着け、ユーモラスな口調で青森の魅力を披露。春夏秋冬それぞれの季節の魅力をフリップボードを使い、時にTシャツにプリントされた素材を披露するなど体全体も使って楽しくアピールし、来場者からは笑いや歓声が広がった。
青森リンゴの販売は香港市場でも年々増加の一途をたどり、2006年に420トンだったものが、2017年には8146トンにまで増加している。台湾が圧倒的な輸出量を誇るものの、現在では輸出量全体の約四分の一を香港市場が占めるようになった。重ねて昨年度、香港人の宿泊者数が47都道府県の中で一番の伸び率を見せたのも青森県。それでも年間1万6000人強だが、今年もクリスマス時期や旧正月のチャーター便が予定されるなど、東北全体の宿泊者数を伸ばすきっかけとしての動きができるように引き続きアプローチにも力を注ぐ。
JA全農は今後、継続的な取り引きを確保することができるよう同施設とも関係を維持していきたい考えだ。
瑪●=上に下、桃豚●=月へんに南