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光を放つヒルサイド・エスカレーター 段階的に改修し、2022年完成予定

各ステップの両脇を明るく照らすようにデザインされたエスカレーター

各ステップの両脇を明るく照らすようにデザインされたエスカレーター

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 オフィス街である中環(Central)と住宅街の半山区(Mid-levels)を結ぶエスカレーター「中環至半山自動扶梯系統(Central-Mid-Levels Escalator and Walkway System)」が老朽化したことに伴う改修工事が始まり、19機ある動く歩道とエスカレーターを段階的に再整備している。

改修工事でエスカレーターは部分的に運転停止に

 一般的に「ヒルサイド・エスカレーター」の名前で知られているが、このエスカレーターは長さ820メートルとギネスブックに登録されている。世界一の長さといってもマンションや道の関係から全て直線的に1つのエスカレーターが敷設されていることは不可能であることから、3つの動く歩道と16のエスカレーターで構成されており、その総延長が世界一という意味で知られている。高低差135メートル、電気代だけで年間50万香港ドルかかるといわれる同エスカレーターの総工費は2億4,000万ドルで、1993年10月に完成。現在、1日7万8000人が利用し、周辺住民の生活に欠かせない存在だ。

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 エスカレーター周辺は、香港の歴史的に見ても古くから発達した地域であるため、当時の香港政庁の時代から綿密な都市計画に基づいて開発されたわけではない。半山区が開発されるとほぼ同じくして車の所有率が高まり、周辺道路の交通渋滞が深刻になっていったことから、通勤を車から徒歩に切り替えてもらうためこのエスカレーターが敷設されたという経緯がある。

 元々、ヒルサイド・エスカレーター周辺は磁器を扱う店やメディアがオフィスを構えていたこともあり印刷工場が多かったが、帰宅途中の西洋人らを狙ったバーやレストランが徐々にオープンし始め、いつしかSOHO(South of Hollywood Road)と呼ばれるようになった。ロンドンのSOHOは歓楽街であり、ニューヨークのSOHOは South of Houston Streetであることから、香港のSOHOはロンドンとニューヨークを合わせた要素を持たせようと名付けられたといわれる。蘭桂坊(Lan Kwai Fong)とも徒歩圏内であり、事実上大きな1つのナイトスポットを形成することに役立った。香港映画にも何度も登場するなど「通勤の足」が観光スポットになるという珍しい例でもある。

 西半山区の高級マンション以外にも、SOHO辺りは、エレベーターがないような唐楼などの古いマンションをきれいに内部改修し現地採用の外国人が好んで住む場所になっている。

 現在工事が行われているのは威靈頓街(Wellington Street)と擺花街(Lyndhurst Terrace)の間にある「自動行人道6T(Travelator 6T)」と名付けられた動く歩道で、2019年9月に完成する計画だ。6Tの工事が終わった後は6Tの前後にある5Tと7Tの改修を2020年初頭の完成を目指して同時に工事を行う予定となっている。

 すでにエスカレーターは部分的に完成している。そのエスカレーターを見ると各ステップの両脇を明るく照らすことで歩行者の安全を考えた設計にし、それが結果的に各ステップを幻想的にするという「インスタ映え」するような副次的効果もあり、夜も観光スポットになりそうな気配だ。

 この工事を管轄する運輸署(Transport Department)と機電工程署(EMSD)は、段階的に工事を進めていき、全てが終了するのは2022年内としたい考えだ。

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