香港・旺角の小さなショップやレストランが軒を連ねる女人街から少し離れた場所に先月オープンした四川料理店「蜀香」(G/F, 8 Kwong Wa Street, Mong Kok)が、週末はもちろん、平日夜にも行列ができるほどの人気を集めている。
四川の赤を内装に使った店内には約30席を用意。飾らない造りだが、清潔感のある店内は、いわゆる香港の食堂といったイメージだ。
店を切り盛りするのは、今から10年ほど前に四川省成都市から香港に移住したシェフ兼オーナーの張勝虎さん。「一言で四川料理と言っても、味も見た目もほかの地方より重視する成都風の四川料理が食べられるのはうちだけ」と自信を見せる。
四川料理と言えば辛いイメージが強いが、「それはただの勘違い」と張さん。四川料理は唐辛子を大量に使うが、それぞれの種類を使い分けることによって舌がしびれる『麻』、唐辛子の独特の『香り』と『辣(辛さ)』と3つの感覚を順番に出すのがシェフの腕の見せどころだという。「味が分からなくなってしまうほど辛すぎるのはNG」とも。
同店の名物は、イカやレンコン、エノキ、キクラゲなど、さまざまな材料を唐辛子で作られたラー油で煮込んだ成都の地方料理「蜀香特色冷鍋」(248香港ドル)。炎天下でも食べられるようにと火をかけずにそのまま食べる。同メニューでは、舌をまひさせる「二荊條」、独特の香りを持つ 「燈籠椒」、そして辛味の強い「子彈頭」という3種類の唐辛子を使用。
そのほか、3時間かけて作った、ラー油ベースに砂糖を入れ甘辛く仕上げた「甜水麺」(38香港ドル)やもち米で作った餅にサトウキビソースをかけて食べるデザート「四川涼●」(18香港ドル)などの同店オリジナルメニューもそろえる。
営業時間は12時~23時。
(●は食へんに羔)