アメリカのシカゴに本部を置く世界有数の不動産サービス会社「クッシュマン&ウェイクフィールド」は11月13日、銅鑼湾(Causeway Bay)が1平方フィート当たりの不動産価格が年平均で2,745米ドルとなり、世界でも最も一番高い賃料であることを発表した。
クッシュマン&ウェイクフィールドは1988年以降、毎年「Main Streets Across The World」のタイトルで世界中の不動産価格を調査・発表しており、今年は世界にある68商業地域と488の商業系のストリートを調査した。
この調査によると、銅鑼湾は2018年にニューヨークの5番街を抜いて世界一となったが、2019年も前年比2.3%増の2,745米ドルに達した。2位はニューヨークの5番街(49~60丁目)で前年と同じ価格の2,250米ドル、3位はロンドンのNew Bond Streetで、2.3%増の1,714米ドルだった。ほかの都市では、パリ・シャンゼリゼで前年同じ1,478米ドルで4位にランクインし、銀座も前年と同じの1,251米ドルで6位だった。北京の王府井が前年比0.7%減の471米ドルで11位となっている。
同社はアジア太平洋で見ると、香港(1位)、北京(2位)となるが、それ以外にも上海(8位)、深セン(11位)、広州(13位)、台北(15位)、南京(20位)など中華系にルーツを持つ都市が7つも入ったことは象徴的だとした。一方、インドは好調な経済に支えられて強いパフォーマンスを見せたが、北京は前年度を下回る価格となっており、中国の景気が米中貿易戦争の影響を受けていることが垣間見える数字となった。
クッシュマン&ウェイクフィールドによると、「6月に統計資料は完成しており、現在のデモによる小売業への悪影響などは完全には反映されていない」としている。
さらに同社は「観光客が減少し、小売業の売上は減少しており、不動産価格は過去数カ月値下がりしている。中国本土からの観光客をターゲットとした店がこれまで中心だったが、それに加え、香港市民の利用も視野に入れた店…例えば、教育、生活、スポーツといった店があると理想的だろう」とした。借り手は大家に対して、より有利な条件を要求し、契約することが可能だろうとしている。香港とニューヨークの価格差を考えると、香港がニューヨークに再び抜かれるには約2割もの値下がりが必要であり、景気の悪化したとはいっても、そこまでの落ち込みまではいかない公算が高そうだ。
今後の不動産市況については、現在の社会状況、デモがいつ収束するのかがはっきりしないことから「不確か」とリポートでは表現している。