海外での日本産鶏卵の普及に取り組む日本養鶏協会は12月19日、香港の順德聯誼總會翁祐中學 で日本産卵の学習会を開催した。
日本の高校1年生に当たる生徒の中で、日本語を履修する生徒を対象に、約1時間の特別授業として実施。これに先立ち、香港内の日本語学校「SHIN EDUCATION」ともタッグを組み、香港のクッキングスクールを利用して一般向けのセミナーも実施したが、その内容の一部を変え、出前授業として実施した。
同校は1学年100人以上の生徒数がおり、香港の中でも珍しく中学入学後の3年は日本語を必修科目として学ぶ。その中の約4分の一が中学4年生(日本の高校1年生に相当)になってもそのまま日本語を選択科目として学び続ける。同協会は元々、日本についての興味がある生徒を対象にすることで、より理解が深まるものとし、同校での開催が実現した。
現在、日本産鶏卵の輸出は、重量ベースでは、まだ1%に達していないが、国内の生産量も増えている一方、海外向けの輸出も確実に増えている。2018年10月にアメリカ向け鶏卵輸出が解禁、今年11月にはマカオ向け鶏卵輸出が解禁されるなど、輸出可能な国は増えつつあるが、現在は香港向け出荷が99%を占める。日本産の輸出実績も、2016年の3222トンから2018年は5848トンと着実に増加の一途をたどっている。しかし、香港内で見ると、日本産鶏卵のシェアはたった3%前後と低く、大多数が中国産で10万トン以上あり、アメリカ産、次にタイ産、マレーシア産がこれに続く。
通常は日本産の香港向け鶏卵は工場での製造日プラス60日前後が設定されていることが多く、温度管理などが重要であるが、サルモネラ菌などが繁殖しないものを加熱用として販売するケースが多い。生食用卵の需要も実績もあるが、本来香港では火を入れたものに使うことが多かったため、温泉卵のような少し調理を加えたものの方が受け入れられる。
そこで学習会では、卵料理、レストランでのオーダーの仕方などを組み込んだ日本語の練習、温泉卵づくりの実習などで構成されたプログラムを実施した。殻の色の違いは鶏種違いによるもの、卵の黄身はクリーム色のものから橙色のものまで違いがあるが、これは鶏の飼料の違いであることを説明。日本産鶏卵が育つ衛生環境についての動画を見せ、賞味期限などについても解説した。本来生卵で食べる文化のない香港だが、生で食べることができる期間は産後20日間を目安とし、保管する際の冷蔵庫の温度なども重要で、冷蔵庫の中でもパックのまま保存をすることが望ましい理由などの説明も加えた。参加した生徒の8割が最も印象に残ったプログラムが「温泉たまごづくり」で、「初めて作ったが楽しかった」「次は家でお母さんと一緒に作ってみたい」などの声が聞かれた。
今後は外食業態やローカルマーケットも視野に入れ、今年度は1万トンを目標に、さらなる需要の創出と輸出の拡大を目指す。