林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は1月31日、記者会見を開き今後の新型肺炎対策について、香港内の幼稚園・小中学校の休園・休校を3月1日まで延長することなどを発表した。
1月30日には世界保健機関(WHO)が湖北省武漢を発生源とする新型肺炎について感染者は世界18カ国・地域、8000人を超え、死者は170人に達したと発表。人から人からの感染のケースもあるとし、感染が急速に拡大していることから緊急事態を宣言。日本政府もそれに応じて、これまでより厳しい対策を2月1日から講じている。
外務省は31日付けで香港・マカオを含む湖北省を除く中国全域の感染症危険レベルを1段階引き上げ、不要不急の渡航の中止を求める「レベル2」とした。
1月31日現在、新型のコロナウイルスによる肺炎の感染例は香港が12例、マカオが7例で、学校の休園・休校の延長のほか、香港政府職員の自宅勤務を緊急性の件や市民サービスの部署を除き2月9日まで延長することを決めた。併せて民間企業にも柔軟な対応を求めている。
また過去2週間以内に湖北省に訪問した香港居民は症状の有無にかかわらず入境後検疫センターで隔離観察するとしたほか、香港政府としてマスクの入手に努め、マスク・防護服の配給先は医療機関を優先させる。さらには、発熱のある者は香港からの出境を認めず、羅湖(Lo Wu)と深?湾(Shanzhen Bay)にある税関でも入境者に健康カードの記入を義務づけることを決めた。
民間企業の動きも慌ただしい。香港最大のメガバンク香港上海銀行(HSBC)は香港内にある24の支店で2月3日より業務を一時停止することを発表した。他にも、中国銀行(香港)は49支店、東亜銀行(DBS)は20支店の業務を2月1日から一時的に停止する。香港最大のバス会社、九龍巴士(KMB)は2月3日から21路線の運行を暫定的に停止する。
香港ではマスクが不足気味に陥っており長蛇の列を作る店もある。そのマスクの買い占めを防ぐため、化粧品などを販売している卓悦(Bonjour)はマスクを1人2セット、日用品や生活雑貨を売る日本城(JHC)と大手ドラッグストアの屈臣氏(Watsons)は購入を1人1セットに制限している。日本への旅行に強みを持つ旅行会社「東瀛遊(EGL)」は1月31日、1人5枚を上限に2万枚のマスクを香港ID所有者向けに無料配布したほか、レストラン「No Boundary」の?湾(Tsuen Wan)店はマスク1000枚を永久居民を対象に1人3枚を上限にマスクを無料で配った。日本の大手日用品メーカーのユニチャームやアメリカの3Mも24時間態勢でマスクの増産をしていることを表明している。
香港最大手の旅行代理店、康泰旅行社は2月1日~29日の中国へのツアーを全てキャンセルした。