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香港、入境禁止の「完全鎖国」に踏み出す レストラン、バーでの酒類提供も禁止へ

酒類の提供禁止について検討に入った香港政府

酒類の提供禁止について検討に入った香港政府

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 香港政府は3月23日、香港居民以外の空路での入境を3月25日から禁止すると発表した。観光客、ビジネスでの出張者は香港に入ることが事実上禁止されるという「完全鎖国」状態となった。併せてレストラン、バーでのアルコール類の販売を禁止することを検討していると発表した。

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 林鄭月娥(Carry Lam)行政長官は約45分間にわたる記者会見で、「海外から感染者が急増し新型コロナウイルスが再び香港で猛威を振るい始め、さらなる検疫の強化をする必要があったため」とした。3月25日零時から適用される。

 内容は以下の通り。(1)全ての海外(国家・地域)から香港に入ろうとうする非香港居民が空路で香港に入ることはできない (2)中国本土、マカオ、台湾から入境する非香港住民は、過去14日間に海外の国・地域に滞在した場合は入境を認めない (3)マカオ、台湾からの入境者は香港居民、非香港居民であるかを問わず、全て14日の強制検疫を受けなければならない (4)香港国際空港による乗り継ぎの禁止

 他にも、欧米諸国からの入境者全てに唾液のサンプルを検査期間に義務付けた。感染していても無症状の人がいるため、それを防ぐためだ。併せて香港内に約8600軒あるとされる酒を販売する免許「リカーライセンス」を持つレストランとバーが、ソーシャルな接触を減らすことを目的に酒類の提供を禁止する条例の改正案を検討することも明らかにした。立法化作業があるため、実施されるとしても開始日は未定である一方、料理の提供は可能であるため営業自体は可能だ。世界的にはアルコールの提供どころかレストランの営業そのものができない国、都市があることを考えると、香港政府としてはギリギリの線で実施する政策と言えるが、レストランについても営業時間の短縮や座席の規制も視野に入れているという声も聞かれる。

 アルコール提供禁止を実施する背景には、大手ドラッグストアで働く感染者番号217番(男)が3月13日、2人の女性同僚と蘭桂坊で食事をした。結局2人は感染し3日後の16日に発症。2人のうち1人は、感染はしていたものの自覚症状はまだ出ておらず翌14日に愉景湾(Discovery Bay)で行われた披露宴に出席し、結果的に5人に感染。その5人の中の1人がさらに家族2人に感染させるという感染症が広がる典型的な展開を見せたためだ。

 キャリー・ラム行政長官はクラスターが発生したことを受け、飲食業界に対して「パーティーや祝賀会などをすることを減らしてほしい」と要請したほか、プライベ―トクラブやパーティーをすることなどに使う「Private Recreational Lease」の停止も求めた。

 これに先立ち3月21日、香港政府は4月20日から再開を計画していた学校の休校は無期限に延長すること、解除されていた在宅勤務を3月23日から再び復活させている。

 14日間の強制隔離については、QRコード付きのリストバンド、専用アプリをダウンロードして連動させる措置を実施しているが、検疫プロセスとして入境者はランダムに唾液のサンプルを税関で採取されるほか、別のケースとしては、唾液のサンプルを家族や友人に託して指定された期日に香港内にある13のクリニックに提出する必要がある。陽性反応が出た場合は公立病院での入院の手配となる。3日以内に通知がない場合は陰性で、隔離期間が終了するまで隔離措置を続行しなければならない。

 これまでに虚偽報告や検疫場所を離れるなどして41人が違反しており、そのうち5人が逮捕され政府が指定する強制隔離施設に送られている。逮捕された場合は最高で罰金2万5,000香港ドルと禁錮6カ月の罰則が課せれることになっている。

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