林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官、食物及衞生局の陳肇始(Sophia Chan)局長ら政府高官は7月13日、合同で記者会見を開き、7月に入り新型肺炎が急速に拡大していることを受け、新しい措置を発表した。公共の場での集まりを制限する「限聚令」は最大4人まで、レストランでは18時以降の店内での飲食を禁止、公共機関に乗る時はマスクの着用義務付けなどを発表した。
14日現在、累計感染者数が1570人、死亡者は8人、回復者1229人となっている。香港政府は感染拡大を防ぐため7月9日に7月11日~24日の2週間、規制を強化する方策を打ち出したが、さらに厳しい措置を実施することを決めた。林鄭行政長官は「7月6日~13日の8日間で新規感染者が253件と1日平均30件になった。13日の52件は3月以来最高の数字を記録。253件のうち海外から持ち込まれたのが71件、香港内での感染が182件となった。182件は、老人ホーム、茶餐庁、タクシードライバーなどで、かつ54件が感染経路不明。私たちはさらなる警戒が必要になった」と新しい措置に至った理由を説明した。
これに先立ち、陳局長は7月10日開催された立法会で「現在、1日平均の検査数は7500件に上っている」と明らかにしたほか、同日に放送された香港電台(HTHK)の番組では「タクシードライバー、飲食店の関係者、医療関係者への検査を実施する」と発表している。
今回の措置は7月15日~21日の1週間。公衆の場での集まりは最大50人から最大4人となった。ただし、結婚式は20人を上限に行う事が認められるが、飲食物を提供しないことを前提とするとした。
飲食では18時~翌朝4時59分の間、客が店内に入ることや料理やドリンク類の販売を禁止する。ただし、テークアウトは認める。これにより多くの店が、ランチ営業をそのまま延長して18時までランチとして営業する対応を、たった1日で決め告知している。テーブルの距離は1.5メートル離すこと、検温、消毒、マスク着用は従来と同じだが、テーブル1卓当たりは8人から4人になり、収容できる客数は総座席数の60%から50%に減らされた。バー、パブ、ゲームセンター、ジム、サウナ、ナイトクラブ、パーティールーム、エステ、マッサージ、麻雀店とカラオケ店は一時閉鎖措置となるほか、違反した場合、飲食店経営者などは最大罰金5万香港ドルおよび禁固6カ月の対象となる。
公共図書館、博物館、コンサートホール、スイミングプール、屋内体育施設と屋外体育施設、ビーチ、キャンプ場などは一時閉鎖となり、7月いっぱいはライブパフォーマンスやダンスなども禁止された。
交通機関では、客がバス、地下鉄、トラムなどの公共交通機関に乗車する場合はマスクの着用を義務付けた。バスやタクシードライバーはマスクを着用していない人の乗車を拒否できる。7月15日から28日まで有効で、違反した場合は5,000香港ドルの罰金刑となる。香港への入境資格者の中で、香港にウイルスを持ちこむケースが多い国と地域(会見ではパキスタン、インド、バングラディシュ、ネパール、南アフリカとフィリピンとインドネシアのドメスティックヘルパーとコメント)から香港に向かう飛行機の乗客に対して陰性証明書が必要だとした。違反者は1万香港ドルの罰金または6カ月の禁固刑となる。
火炭(Fo Tan)の公営住宅の駿洋邨(Chun Yeung Estate)は臨時の隔離施設として使用されていたが、7月いっぱいで利用を停止する。ここはダイヤモンドプリンセス号に乗船していた人、湖北省から来港した人など合計7700人がここで強制隔離を行った。政府は修繕工事を行ったあと入居を開始するとしている。香港政府は駿洋邨に代わり、香港ディズニーランド近くの竹●灣(Penny's Bay)に専用の隔離施設を建設中で、7月末からは計800戸分が稼働させる予定だ。
一連の措置を受け、海洋公園(Ocean Park)は7月14日から、香港ディズニーランドは15日から再び一時閉鎖すると発表した。ただし、ディズニー側はホテルに関しては安全対策を施しながら営業を続けるとアナウンスした。
香港内のスーパーマーケットの一部ではでは買いだめが発生した。前回トイレットペーパーなどが店頭から消えた事態への反省として、大手スーパーマーケットの恵康(Wellcome)では、米、パスタ、卵、漂白剤、マスク、箱ティッシュ、トイレットペーパー、消毒液など14品目については1人2つまでという購入制限措置を取っている。1月終わりから2月中旬の新型肺炎の第1波時のような、米、マスクの大規模な売り切れというほどの混乱には至っていない。
●=竹かんむりに高