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香港・中環にカフェ併設のフラワーショップ 9割が空輸の日本産の花と植物

中環に新しくできたカフェ併設のフラワーショップ

中環に新しくできたカフェ併設のフラワーショップ

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 香港の大館からほど近く、バーや飲食店が並ぶ雲咸街(Shop B, G/F., 77 Wyndham Street, Central )に7月20日、カフェを併設したフラワーショップ「Cafe Hay Fever」がオープンした。

サンドイッチやヨーグルトも用意している

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 同社は元々、旺角で花の卸を生業にしてきた家族経営の企業が親の代の卸のみではなく、小売りも始めようと同社のマネジングダイレクター・マーティン(Martin Tsoi)さんが13年前に会社を立ち上げ、独立した形だ。中環店は旺角店に続く2店舗目で、香港の気候に合う花、室内で簡単に育てるものを中心に、常時花は20~30種類、植物は40~50種類を並べる。竹炭や溶岩などを土に配合したものを用意したり、日本製の陶器も併せて販売したりするなど、インテリアとしての相談にも乗る。鉢植えの植物は数十香港ドル~数千香港ドルで、切り花は時期によって変動があるものの、現在はバラ1本=60香港ドル、アジサイ1本=130香港ドル程度。

 ショップ左側にはフラワーショップコーナーがあり、右側にはサンドイッチやケーキが並んだショーケースを置く。カフェスペースは全部で9卓20席があり、明るさを落とした照明に心地いい音楽を流す。手作りのサンドイッチ(68~78香港ドル)とオーツ、アーモンド、レーズンを入れ、シナモンシロップに漬けたカットリンゴを載せたヨーグルトカップ(58香港ドル)も用意。人気のドリンクはベイリーズ入りのコーヒー(48香港ドル)やカプチーノ(40香港ドル)など。店内は敢えてWi-Fiのサービスは行わず、友人と話す時間や本を読む時間を楽しんでほしいというのが店のコンセプトだ。「実は花とカフェ両方やることはあまり儲からない」と話しつつ、「こうした空間を提供し、ECサイトで買うのではない仕組みが大切」と話すマーティンさん。

 店頭に並ぶ花は9割が日本のもの。花は週1回、空輸で仕入れ、通常は年4回は2週間ずつ日本を訪れ、農家や競りの現場を訪れ、良いものがあれば3カ月分の取引をするような生活を送ってきた。マーティンさんは日本を何度も訪れるにつれ、地域の特徴や花の特徴にも違いがあると感じている。

 仕入れは愛知からのものが多いが、それ以外にも北は岩手から南は沖縄まで各地を練り歩き農家と直接話をして花を見定めている。現在は日本へ渡航ができないため、日本と密に連絡を取りながら仕入れている。中部国際空港からの便が停止しているため、成田経由で香港に運ぶ必要があり、その分コストが跳ね上がってしまっている現状があるものの、それでも仕入れ・販売を続けている。

 香港ではオランダの花の輸入が多いが、それはオランダのものが丈夫でクオリティーが高いからではなく、オランダが国策として輸出しやすいようにつぼみの時期に剪定(せんてい)し、ラッピング、海外輸送体制を確立させているためだ。「比較すると日本のものはクオリティーが良いし、水を敷いて花が縦の状態で空輸される。このためコストは高くなるが、それでも買いたい香港人たちがいる」と話す。20年前に父親に手を引かれて日本に行っていた10代のころから「日本の農家は、なかなか海外に出したがらない印象が強かった」と感じていたというマーティンさん。そこから長年の関係性を築いてきた。ここ10年は海外輸出も視野に入れた農家も出てきた一方で大きな心配もあるという。「日本の花の輸出を守るためには、とにかく量を増やそうとすると、オランダにも勝てず、クオリティーが落ちるだけ。我々は日本の農家も守らなければいけないし、そのためには適正な価格で販売を守りたいが、もし日本からの輸出や香港の輸入業者が増えていくと、今のこのコンセプトも保てなくなるかもしれない」と危惧も抱く。

 営業時間は8時~20時。現在は新型コロナ肺炎の措置として8時~18時の営業時間となっている。

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