香港・上環のグルメストリート歌賦街(G/F, 51A Gough Street, Sheung Wan Tel:2997-8651)に9月23日、刺し身や焼き魚料理、串焼きから「おまかせ」までを提供する日本料理「岩手・建(Iwate-Kin)」がオープンした。
まるでシャッターアートのように入り口の壁全体に着物姿の人が行き交う古い街並みの絵が描かれた道路上からよく見える作品は、香港人作家が開業のために描き下ろしたものだという。席数は約20席。琴の音色のBGMが流れ、黒板に「お薦め」を書き、食材はほぼ日本のものを使うなど、「日本食材が大好きな香港人」が出した典型的な店に仕上げた。
オーナー兼シェフの鄭建雄料理長は15歳で料理の世界に入り、香港内の日本料理店などで働いてきて、今回、念願の自分の店を出店するに至った。「岩手はたった1回しか行ったことがない」と言うが、妻が行先を決めた旅行について行ったところ、「岩手山、三陸などの美しさに感動して、初めての自分の店に名前を付けた」と経緯を話す。
岩手のカキは片手にいっぱいになるほどの大きさで、岩手だけでなく宮城や三陸の魚介類をはじめ、マグロでもその日に取れるものを仕入れたいと、場所はこだわらず長崎産や奄美大島産なども仕入れるという。現在は北海道、東京、福岡の市場経由しているものを採用しているが、1日に10種類程度の魚を仕入れ、調理場とフロアをつなぐ場所にショーケースのようなものを置き、客が立ち上がれば「今日の魚」が見えるよう工夫を施した。
ランチは10貫のすしを丸い石のプレートに置いたすし定食(258香港ドル)や赤身・中トロ、ネギトロの3種類を丼に並べた三色小丼(288香港ドル)をはじめ、うなぎのかば焼き定食(248香港ドル)など。ディナーはあさりの酒蒸し(78香港ドル)、土佐豆腐(59香港ドル)のようなつまみから、揚げあまだいと大根の煮物(198香港ドル)や7種の串「薩摩鶏串焼併盤」(289香港ドル)、魚のかぶと煮(169香港ドル)などのアラカルトもそろえる。酒も25銘柄以上を用意いる。
「本当はメニューに写真や内容など入れたくないけど」と話す鄭さんが一番食べてほしいのは「おまかせ」(1,280香港ドル)。茶わん蒸し、前菜、刺し身5点、すし6貫、焼き物、揚げ物、煮物、吸い物、デザートのコースだが、メニュー通りの内容ではなく、最低でも15皿は作り、有田焼をはじめ日本から仕入れた皿を使うなど、プレゼンテーションにもこだわり提供する。デザートシーソルトやユズのアイスクリームも手作りで、「とにかく作ることが好きだから」と話す鄭さん。
営業時間は、ランチ=11時30分~14時45分、ディナー=18時~23時。