香港銅鑼湾SOGO裏手の謝斐道に1月8日、京風だしのおでん店「おたま」(Unit 1103, United Success Commercial Centre, 508 Jaffe Rd, Causeway Bay Tel2891 1530)がグランドオープンした。
カウンターと4人席を合わせて19席のこぢんまりとした店内は、「香港にいる日本人がちょっと立ち寄りほっとできる場所」を目指しているという。
京都をはじめ全国の社寺や料理店に昆布やかつお節を納める「うね乃」のだしを使っているのが同店の特徴。1903(明治36)年創業の「うね乃」は近年、家庭で使えるだしパックや花がつおなど、さまざまな商品を発売している。元々海外進出に積極的ではなかったが、同社が展開する食事処や店舗に香港人が訪れたことがきっかけでだしパックなどの商品に英語の説明書きを入れるようになったり、香港側の熱いアプローチもあり、初の海外のステップとして、同社の無添加のだしを使ったおでん店に協力する形となった。
香港でもおでんは日本料理の一つとして人気があるものの、地域特有のレシピがそれぞれある。香港で一般的には「関東煮」と呼ばれ、濃いめのしょうゆ味であることが多い。そのため店名にも「京都煮」と添え、同店を通じて「素材を引き立てるだしの優しさを伝えたい」と意気込む。
おでんの内容は旬のものも含め20種類ほどを用意している。3日かけてじっくりと煮る各種の献立の中でも、最初に食べるメニューとして勧めるのが「大根」(28香港ドル)。とろろ昆布とネギを載せてしっかりとだしの味を感じることができるようにして提供する。ほかにも京料理の定番として使われることも多い「えび芋」(38香港ドル)は「一度揚げることで食感を大切にしている」という。自家製「ひろうす」(55香港ドル)は豆腐と山芋にすり身を入れて独特な食感に仕上げた。聖護院カブラや壬生菜(以上38香港ドル)などの京野菜もメニューに並べ、京だしと相性の良い食材を選んでいる。「お酒と組み合わせてもらい、箸の進み具合などもみながら、コミュニケーションも取ってお薦めを出したい」とスタッフは話す。
ほかにも「だし巻き卵」(48香港ドル)や「牛すじ」(58香港ドル)などの一品料理のほか、マグロ、寒ブリ、タイなどの造り(以上128香港ドル)、メヒカリ(80香港ドル)やブリの塩焼き(128香港ドル)などの焼き物など、おでんと組み合わせて注文できるメニューも用意する。締めのきつねうどんや焼きおにぎりのお茶漬け(以上48香港ドル)などにもしっかりとだしを利かせる。
店内での飲食に加え、5種・7種などの持ち帰り用の盛り合わせにも力を入れる。
営業時間は18時~24時。水曜定休。現在は新型コロナ禍の措置に準じ、12時~18時に営業。旧正月中も営業予定。