MTR黄竹坑(Wong Chuk Hang)駅のすぐ南に建設中の大型ショッピングモールの名称が1月21日、「THE SOUTHSIDE」(11 Heung Yip Road, Wong Chuk Hang Hong Kong)に決まったと発表された。2023年の完成を目指し建設が進んでいる。黄竹坑初のショッピングモールということもあり、周辺住民のみならず南区(Southern District)住民の期待が高まっている。
黄竹坑は基本的に工業エリアとして発展したエリア。昨年閉店した香港定番の観光スポットである水上レストラン「珍寶王國(Jumbo Kingdom)」への入り口として知られている。MTR南港島線(South Island Line)の開通によりアクセスが一気に向上し、同エリアの開発が進んでいる。香港政府は南区の再開発計画「躍動港島南(Invigorating Island South)」を推進していることもあり、注目を集めている地域だ。
場所は、黄竹坑駅のすぐ南側にある敷地面積77万1000平方フィートの土地で、下層部分はMTRの車両基地として使われている。その上の部分を第1期から第6期の高層マンション合計14棟(5200戸分)とショッピングモールとして開発するプロジェクトとなっている。
既に第1期は2棟815戸から成る高層マンションで2023年1月に完成予定。第2期も2棟600戸からなる高層マンションで、第3期は4棟1200戸のマンションとなる予定。第4期は2棟800戸のマンションだが、こちらは東南方面に建てられることから海洋公園が一望できる。第5期分は2020年1月に入札が行われ、デベロッパー最大手の新世界発展(New World Development)が中心となる4社のコンソーシアムが落札したばかり。
ショッピングモールは第1期~第6期とつながる中心地の役割を持っており、5フロア、売り場面積51万平方フィートで、ファッション、飲食、電器、娯楽など生活に必要な約150の小売店が入る予定。
さらに1万4000平方フィートの「公共休憩空間」を創出し憩いの場も作るほか、3000平方フィートの舞台を敷設。コンサートやパフォーマンス会場としての利用を期待し、市民が集う場所としての機能も目指す。
施設はガラスを使って自然光を多く取り入れるようにしたほか、ベージュを基調とした色使いをすることで、落ち着いた空間を演出しショッピングを楽しんでもらうのが狙い。
MTRは近年、ショッピングモールの圓方(Elements)、德福廣場(Telford Plaza)など不動産運営にも力を入れており、このモールのその流れの一環。南区には27万人を超える市民が住んでいるが、MTR運営のモールのテナントミックスは評判が高い。235台分の駐車場も整備するため、赤柱(Stanley)や浅水湾(Repulse Bay)の住民も客として呼び込めそうだ。それに加え、黄竹坑駅は金鐘駅(Admiralty)駅から2駅目、わずか約8分で到着するアクセスの良さがあることから香港島北部の住人をターゲットとした商圏として十分成り立つ。北部と比べて開発が遅れていた南部の発展に貢献しそうだ。