アメリカのシンクタンク「ヘリテージ財団」と経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」は3月4日、「2021年経済自由度指数(Index of Economic Freedom)」を発表した。香港は1995年の同指数開始以来、ずっと評価対象とされてきたが今年からマカオと一緒に除外された。1位は前年比0.3ポイント増の89.7点だったシンガポールだった。日本は同0.8ポイント増の74.1点で前年の30位から23位に大きく順位を上げた。
香港は2019年までは25年連続で世界1位を記録してきたが、基本的に2019年の評価となるが2020年は「逃亡犯条例改正案によるデモの影響は経済活動の妨げられたこと、政治不安、中国本土の干渉に対する恐怖が高まった」として2位に転落し、シンガポールにその座を譲っていた。2021年は2020年の評価が多くを占めるが同年に香港国家安全維持法が制定されたことで、さらなるランクダウンの可能性があると予想されていたが、評価の対象にすら、ならなくなった。
今回、同財団は「21年版の指数は、主権を持つ独立した経済体のみを評価対象にした」と表明。さらに「香港とマカオは特別行政区として、中国国民が平均的に享受できる以上の経済的自由を得ることができていたことについては疑う余地がない。しかし、最近の動きを見ると、香港とマカオの両政府の政策は、最終的に中央政府の統制下にあるということを明示した。今後、香港とマカオの経済自由度は、中国の経済自由度の評価の中で考慮していく」とリストから除外した理由を説明する。
これを受けて香港政府のスポークスマンは「この決定は正当化できるものではない。最終的に北京のコントロール下にあると評論しているのは不正確で事実を表していない。指標が設立されて27年以来25年間トップだった香港にとって不公平だ。政治的な偏見がかかっている」と不満を表明。「香港は、財政的な安定、商業的な自由、貿易や金融の自由などの経済力は保持されている。依然として何千もの国際的企業が運営されていることがその証明だ」と反論した。
香港政府は、これまでヘリテージ財団が発表を利用して経済的優位性を世界中で宣伝してきただけに、今回の除外は、企業誘致においても、海外からの投資においても、何よりイメージにおいてダメージとなることは避けられない見通しだ。
全178カ国・地域の中で1位のシンガポールに続いて2位に付けたのは前年比0.2ポイント減の83.9点だったニュージーランドだった。3位は同0.2ポイント減の82.4点だったオーストラリアで、中国は同1.1ポイント減の58.4点だった。