香港政府行政会議は3月16日、バス会社5社から申請されていたバスの乗車料金の値上げについて、4社を了承した。値上げのほとんどは4月4日から適用される。併せて公共交通機関を利用した場合、1カ月当たり400香港ドルを上限に3分の1を補助してきたが、その期限が6月30日に迫るなか、12月31日まで延長することも併せて決めた。
香港は21日現在、累計感染者数が1万1380人、死亡者は203人、回復者1万875人、新規感染者は8人となっている。乗車料金を申請したのは、城巴(City Bus)と新世界第一巴士服務(新巴/NWFB)、新大嶼山巴士(嶼巴/NLB)、九龍巴士(九巴/KWB)、龍運巴士(龍巴/LMB)の5社。各社共2018年から2019年にかけて値上げを申請したが、香港政府は却下。しかし。2020年に入り新型コロナウイルスの感染拡大で経営環境は一気に悪化した。その結果、新世界発展(New World Development)の傘下だった城巴と新巴は、乗客数が平均で30~40%減少し、特に香港国際空港を結ぶバスは95%も減少。2020年夏に32億香港ドルでBravo Transport Holdingsに売却を余儀なくされていた。
今回、城巴と新巴は11.7%値上げするが、4月4日に8.5%、2021年1月2日から3.2%と2段階に分けて運賃を値上げする。両社は90%以上の乗客にとって値上げ額は1.5香港ドル以下になると強調した。
NLBは4月4日より平均で9.8%を値上げする。あくまで平均で、一部路線において平日は8.7%~9.2%、日曜・祝日は10~15%の値上げとなる。香港最大のバス会社KMBも4月4日より8.5%値上げする。ただし、城巴と新巴と重複しないKMB単独路線だけを見れば5.8%の上昇となる。KMBの姉妹会社の龍運巴士(LMB)は平均8.5%の値上げを申請していたが否決された。
2006年からバス会社はインフレなどを加味した「可加可減機制(Fare Adjustment Mechanism)という料金体系を導入してきたが、今回が最大の上げ幅となった。香港政府は全体としては90%以上の乗客は1香港ドルに値上げになると発言している。
公共交通機関の補助は、2019年1月1日から月額400香港ドル以上を利用した場合、300香港ドルを上限に3分の1を還付してきた。2020年1月1日からは400香港ドル以上の利用があった場合は400香港ドルを上限に3分の1に引き上げられた。しかし、新型コロナウイルスの拡大が深刻さを増し、同年7月1日から12月31日までは400ドル以上の利用という最低条件が200香港ドルに緩和され、400香港ドルを上限、3分の1の還付となっていた。2021年に入り、この条件は6月30日まで行われる継続される予定だったが、その期間を12月31日まで延長することをバスの値上げと併せて決定している。