香港のタイムズスクエア(1 Matheson Street, 5th Floor, Space 517-519 Causeway Bay)で現在、京都府とタイムズスクエアの共催で「京焼・清水焼展」が開催されている。5階オープンスペースに特設された会場に京焼・清水焼を手掛ける職人30人以上の作品を展示している。
明るい色彩の京焼・清水焼とは一線を画す「三島」の手法を取り入れた作品「紫彩華紋透かし鉢」
同展は「京焼・清水焼」の要件を満たすことを条件に、これまで培われてきた伝統的な技術や技法を用いたりすることに加え、全く新しい作風のものも受け入れる毎年恒例の公募で決まった受賞作品の展示会。今回は第42回の受賞作品をはじめ、新作を多数出品して京焼・清水焼の魅力を紹介する。
同展の歴史は長く、京都の陶磁器製造業界の技術や技法の発展と継承、所属会員の自己研さんと切磋琢磨(せっさたくま)、相互交流などの振興、発展と内外への新作発表の場として京都陶磁器協同組合連合会が主催する年に一度の展示会。120を超える所属窯元、作家やその子弟、従業員が自己の技術や感性を磨いて作り上げた新作を発表し、審査の下、経済産業大臣賞はじめとする賞を贈り、さらなる業界の発展を目指すとともに一般市民が新たな作品に触れ、その魅力をより深く知ってもらう機会となっている。
2020年受賞作品は昨年9月の京都のギャラリーでの展示後、例年は国内で巡回展を開いてきたが、京焼・清水焼のさらなる発展と振興を考え海外巡回展につながったという。海外の展示は上海で京都の伝統工芸品を展示・販売するアンテナショップ「京都ハウス」で開催し、その流れで香港での開催が決まった。各作品に値段も付け、多くの作品に販売済のシールが貼られている。
展示作品は「京焼・清水焼展」の上位2人の受賞者、森里陶楽さんと中村正機さんの作品を含む30人以上の京焼清水陶器職人の作品。食器、茶器、香料、装飾品などバラエティーの豊かな作品が並ぶ。森里さんの作品は、経済産業大臣賞を受賞した「紫彩華紋透かし鉢」で、白い花や印花文様が特徴。「繊細さがあり、紫と黄色の釉薬で仕上げた侘び寂びを感じる作品」になっているという。中村翠嵐さんの交趾(こうち)焼は、製造工程は非常に複雑だが、明るい色と豊富なバリエーションで華やかさが際立つ。ほかにも天目で注目の若手である古川剛さんの新作33点も展示する。
香港らしく、会場には桜と2.7メートルの高さの鳥居の特別写真スポットを設置。併せて香港の郷土陶器と京都清水焼陶磁器の文化交流を促進するため、タイムズスクエアは香港の陶芸家レオナ・フォンさんを招待して作品を展示し、京都と香港の文化交流ができる機会とした。ほかにも清水焼と併用できる日本酒と松栄堂の香のシリーズを紹介するなど、香港ならではの企画も盛り込む。
開催時間は10時~22時。入場無料。4月7日まで。