アメリカの大手銀行で香港でも多くに支店網を抱えるシティバンクは4月8日、裕福層の実態調査「香港千萬富翁調査報告2020(Hong Kong Affluent Study 2020)」を発表し、香港で資産1,000万香港ドル(約1億4,000万円)を持つ資産家は過去最高の51万5,000人に達することが分かったわかった。
同調査は2020年11月~から2021年1月に、21歳~79歳までの4000人に調査を行ったデータを基に推算したもの。それによると、香港全人口の8.7%(12人に1人)に当たるあたる51万5,000人が1,000万香港ドルの資産を保有していると見られるみられる。前回の41万3,000人から10万人以上の増加となり、コロナ禍でも過去最高を記録した。一方で、中位数は1,550万香港ドルと前回調査(2019-20年)の1,700万香港ドルからは150万香港ドルほど減少した。
性別では男性が54%、女性が46%、男性の平均年齢が60歳、女性は61歳だった。定職を持っていない資産家は6割、持っている人は4割だった。職業についている人のうち管理層、専門家、専門家の関係者(看護士、保険代理人、各部門の主管レベル)がそれぞれ12%、自営業が11%となっている。彼らの子どもたちは16歳から海外留学をすることが多く、留学先はカナダ、オーストラリア、イギリスが人気だ。
地域別にみると、新界(New Territories)が19万9,000人、香港島(Hong Kong Island)が17万8,000人、九龍(Kowloon)が13万8,000人だった。人口密度と合わせてあわせて計算すると香港島がトップとなり5人に1人が1,000万香港ドル以上を保有する計算になる。18区別で見ると、トップは東区(Eastern District)で19%、続いて南区(Southern District)が18%、中西区(Central and Western District)17%、湾仔(Wan Chai)が16%、九龍城(Kowloon City)が14%とトップ5のうち香港島がトップ4を占めた。
投資する金融商品の内訳は、株が95%、ファンドが30%、外貨が14%、債券が12%、金が5%だった。資産内容は、不動産が71%、現金とデポジットが15%、株が7%、基金と債券が5%、その他金融商品が3%だった。
2021年の投資については、不動産が今後1年で価格は7~15%上昇すると予想。全体の8%が香港についての不動産投資について関心があるとし、14%が中国本土の不動産について、27%が海外についての不動産投資に興味があると回答している。不動産投資の時期については、10%が「今である」という認識を示し、40%が「投資をする時期ではない」、50%が「様子見」となった。保有する不動産については、今年前半に売却したいと考える富裕層が増加したとシティバンクは解説している。不動産以外の投資のポートフォリオは、現金が54%、株が27%、基金が11%、債券が5%、その他投資商品が3%のという割合だった。