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香港経済新聞編集部が選ぶ2020年の十大ニュース

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 2020 年の10大ニュースは、香港国家安全条例制定と新型コロナウイルスの感染拡大の2つに集約される1年だった。この2つから派生するニュースだけでも十分ランクインする価値があるのもあるため、ランキングが難しい中、少し視野を広げて香港の1年を振り返る。

 1. 新型コロナウイルス、香港でも猛威を振るう(1月27日ほか)

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 香港政府による新型コロナウイルス対策は湖北省を訪れた人の入境禁止を旧正月前から実施したことから始まった。これ以降、強制隔離、飲食店内での飲食禁止、4回にわたる経済対策、香港市民の行動変容など全てにおいて世の中が変わった。不幸中の幸いだったのは2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を経験していたため香港政府が感染症対策のノウハウを持っていたことだった。

 2. 香港版国家安全維持法施行(6月30日)

 逃亡犯条例改正案に端を発した動きは、2020年に入り新型コロナウイルスの影響で鈍化せざるを得なかった。そうした中、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は6月30日、香港国家安全維持法を全会一致で可決。一気に状況を一変させた。条文があいまいで何が国安法に違反するのかが分かりにくいほか、第38条には「香港に恒久的な居住権を持たない者が、香港以外(の場所)で本法が定める犯罪を行った場合は本法を適用する」と明記した点は、「外国に住む外国人」に適用される可能性があり、驚愕された。

 3. 立法会選挙、1年延期(7月31日)

 林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は2020年9月6日に控えた立法会選挙について1年延期して2021年9月5日に実施すると表明した。理由は新型コロナウイルスの感染拡大だ。選挙延期に当たり非常時に行政長官に大きな権限を付与している「緊急状況規則条例」を適用したが、民主派は反発した。

 4. 教育改革実施。通識教育にメス(9月1日ほか)

 香港の教科書から「三権分立」の記述が消えた。林鄭月娥行政長官は「香港では行政、立法、司法機関が相互に協力しバランスを取るが、3つの機関は最終的に行政長官を通じて中国政府に責任を負う」と記者会見で語った。また、香港政府は「通識教育(Liberal studies)」は反政府デモにつながったして、カリキュラムを見直すことにした。

 5. 新創建、「城巴」と「新巴」を32億香港ドルで売却(8月26日)

 香港最大手のデベロッパーの一つ「新世界発展(New World Development)」の傘下企業である「新創建集団(NWS Holdings)」は8月21日、香港島を中心にバス路線を運行する城巴(City Bus)と新世界第一巴士服務(New World First Bus Services)を32億香港ドルで「Bravo Transport Holdings」に売却すると明らかにした。2019年の逃亡犯条例改正案に伴うデモと新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境に置かれていた。

 6. 「三権分立なし」の見解を受け、判事が辞任(9月18日)

 日本ではあまり大きく報じられていないが、香港政府による「三権分立なし」という見解を受けて、終審法院のオーストラリア籍のジェームス・スピーゲルマン(James Spigelman)判事が国安法を理由に辞任した。香港はコモンロー適用地域であるため、同じコモンローを採用する国・地域の外国籍の判事がいるが、Spigelman判事の辞任劇は世界による香港の法体系の信用危機に陥りかねない出来事といえる。

 7. ファッションブランドが相次いで撤退(6月25日ほか)

 下着をメインとするアメリカブランド「Victoria’s Secret」は2020年6月に本体が破産。香港の支店は6月25日に消滅した。イギリスのファストファッション・ブランド「Topshop」は中環(Central)の賃貸契約を更新せず2020年10月で閉鎖。ただし、ネットでの販売は継続している。韓国ブランドの「Aland」は4つの支店を構えていたが、3月に香港から撤退した。Victoria’s Secretは別としても、2019年の逃亡犯、2020年のコロナが直撃で売り上げが減少し、高い家賃を払うことができなくなったことが大きな原因とされている。

 8. ドン・キホーテ、コロナ禍でも快進撃(7月7日ほか)

 総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が海外で展開する「DON DON DONKI」の勢いが止まらない。2019年7月に尖沙咀(Tsim Sha Tsui)に初上陸して以来、コロナ禍でも店舗網を広げ、約1年と少しで6店舗を展開するまでになった。渡航制限で日本に自由に行けない中、日本を感じることのできる代替場所となっているほか、新型コロナで優良物件が好条件で契約できることも背景に、進出を重ねるスマートさがある。ロンドン発祥で香港でもサービスを展開する「Deliveroo」とも提携して宅配業務も始めている。

 9. 水上レストラン「ジャンボ」事実上、閉店(3月2日)

 香港島南部の黄竹坑(Wong Chuk Hang)にある水上レストランの「珍寶王國(Jumbo Kingdom)」が3月3日、閉店した。逃亡犯条例改正案に始まったデモと新型肺炎の影響を受けて経営が厳しくなったことが理由で、香港観光の象徴が一つ失われた。ただ、11月25日の林鄭月娥の施政方針演説でレストランが無償で海洋公園(Ocean Park)に寄贈されることが明らかになった。

 10. 「鬼滅の刃」、香港でも公開(11月12日)

日本で空前の大ヒットとなった劇場版「鬼滅の刃」無限列車編は11月12日に香港でも公開された。香港でも日本のアニメの人気は高く、公開を待ち望んでいた香港人は多く、公開当初は香港全域の映画館での上映回数は850回にも及んだ。K11MUSEAには期間限定ショップも登場し、入場には整理券が必要になるなど香港でも大きな話題となった。同作が日本の出前一丁とコラボしたことも、香港での拡散につながっていた。