マレーシアカジノ大手ゲンティン傘下のクルーズ船運営会社「ゲンティン香港」が手掛ける「ドリーム・クルーズ(星夢郵輪)」が7月30日、同社のクルーズ船「ゲンティン・ドリーム(雲頂夢号)」を使ったクルーズを再開した。
香港では当たり前の光景となった香港内のホテルに宿泊する「ステイケーション」の選択を増やす意味も込め、「スーパーシーケーション」と名付け、香港内を無寄港で運航する。初日の30日は1014人の乗船客が2泊3日のクルーズを楽しんだ。
出発に先立ち、30日、カイタック・クルーズ・ターミナルでは就航セレモニーも執り行われ、商務及経済発展局の邱騰華局長、香港旅遊發展局の彭耀佳主席らが出席し、クルーズ再開を祝った。邱局長は「航海に出ようとしているクルーズ船を見て、うれしく思う」と話すと同時に「クルーズ業界が、クルーズ旅行のために特別に設計した一連の厳格な感染症対策を遵守することを約束してくれたことに感謝している」と業界への感謝を述べた。今回のクルーズ再開に際し、同クルーズ会社は保健当局の要求に加え、自主的にいくつかの追加措置を実施している。
ゲンティン・クルーズライン社(雲頂郵輪集團)の朱福明総裁は、「クルーズへの反響にも大変勇気づけられた。8月いっぱいの予約は完売し、非常に好調。近い将来、香港の人々にとって最も人気のある休暇の選択肢の一つになると確信している」と話した。
同社の乗組員は、6月初旬に香港に到着して以来、最初の乗客を迎える準備のために健康、衛生、運航に関する新しいプロトコルを実施してきた。ゲンティン・ドリーム号の設計では、外部からの新鮮な空気を100%ろ過し客室や船内の公共エリアに供給することができるようになっている。これにより、キャビン間で空気が再循環することなく、船内全体に新鮮な空気を維持させることができるようになった。レストランに設置された非接触型手洗い場では、水、せっけん、ペーパータオルが自動で出てくるようにし、衛生管理も徹底している。加えて、船内に設置された温度モニターで、乗客の発熱を検知することができるシステムも導入した。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査装置も完備したことで、船内でCOVID-19の医療機関レベルの検査も可能にした。仮に感染者が出た場合にも、メディカルセンター内の陰圧式隔離病棟と予備病棟を使い、医療機関のように対応ができる。船内には44室の隔離室を設け、うち10室は陰圧室も設けたが、船上での検査で新型コロナの陽性が確認された場合にはスケジュールを変更して折り返すことになっているという。
7月30日の就航記念クルーズでは、マジシャン、ルイ・ヤンさんによる「マジカル・シーケーション・オン・ゲンティン・ドリーム」、8月1日のクルーズでは、ユーチューブで100万人以上のフォロワーを持つコンテンツ・クリエーターでもあるヨガ・インストラクターのCoffee Lamさんも登場し、2つのヨガクラス「ジェントルストレッチ・ヨガ」と「フィットネス・ヨガ・アット・シー」を開いた。
今後9月には「Around World at Sea」と題し、人気の高い旅行先を船上に再現したテーマ別のクルーズを開催する予定もあり、中でも人気の「日本」をテーマにした360度の「海の上の日本祭り」を第1弾として計画する。食にも日本色を出すため、沖縄ポークソーセージや大阪のお好み焼きやたこ焼きなどの屋台を出すことなども計画しているという。続く10月にはドイツの祭典「オクトーバーフェスト」をテーマに、クリスピー・ポークナックルやプレッツェルなどを提供したり、作り方を学ぶワークショップも予定する。併せて、バイエルンの民族舞踊やゲームも船内を彩る。
ベストドレッサーの女性・男性には賞品も用意する。船上で行われる全てのアクティビティーは、香港政府の規定に従い、アクティビティーごとに許容されるグループサイズに基づいて行う。全ての乗員・乗客は、医療上または年齢上の理由で免除される場合を除いて、出発の14日前に新型コロナ肺炎のワクチン接種を完了しなければならない。併せて、出航48時間前にCOVID-19 PCR検査を受ける必要がある。
8月31日まではワクチン接種を受けていない15歳以下の子どもも参加できるが、9月1日~10月14日は、12~15歳の場合、少なくとも1回目の予防接種が必要となり、10月15日以降は、12~15歳の場合、現在のところ2回接種完了が必要になる予定。
客室はいずれもプライベートバルコニー付きで、8月18日までに予約すれば、12月29日までのプランについて1,188香港ドル+入港税500香港ドル/人で利用でき、1部屋3人以上の場合、追加人数分は50%引で提供する。