香港政府は1月9日、全日本空輸(ANA)の成田国際空港発、香港国際空港(HKIA)行きの便について1月9日~22日の2週間、運航停止措置とするとした。一方、翌10日、香港政府は濃厚接触者の隔離期間について、これまでの21日から14日に短縮すると発表した。
香港は10日現在、累計感染者数が1万2792人、死亡者は213人、回復者1万2402人、新規感染者は24人、すべてが輸入症例及び、輸入関連症例と報告されている。一方、ワクチン接種者については、1回目が503万1905人(74.7%)、2回目も終えた人は470万2997人(69.8%)となっている。3回目の接種回数は54万3864回だ。
香港では、一路線において1つの航空会社で7日以内に4人以上(航空便が複数あった場合は合算)の新規感染者や、同じ航空機に搭乗していた乗客がHKIA到着時に行われるPCR検査で3人以上の陽性者が出るなどのケースは、それに関連した航空会社が、同じ出発地から香港に到着する便を14日間禁じられる「熔斷機制」がある。
1月7日の全日空NH811便は6人の陽性者が乗っていることが判明した。1人はアメリカから成田経由の35歳男性で、無症状感染。2021年9月に米ファイザー/独ビオンテック社が開発・製造する「復必泰(Comirnaty)」を香港で、11月26日に2回目をアメリカで受けていた。2人目は21歳女性で、オランダとスウェーデンに滞在し成田経由で香港に入った。昨年6月と8月に復必泰を接種しているが陽性と判明したときは既に症状があった。3人目は44歳男性でシンガポール、アメリカ、タイ、インドに滞在していた。無症状感染で2021年4月と5月に復必泰を香港で接種した。4人目は61歳男性でカナダに滞在。無症状感染で2021年5月と6月に香港で復必泰を打った。5人目は53歳女性でイギリスに滞在し、無症状感染で2021年4月と5月に復必泰を香港で接種済みだ。6人目は54歳女性で、カナダに滞在。無症状感染で2021年6月に復必泰を2回打っていた。
香港政府は、プライバシーの関係から国籍を明らかにしていないが、ワクチンの接種場所から推測できる。また、陽性者6人は全員が乗り継ぎ客であることから、日本人陽性者が出たとは考えにくい状況だが、規定により、ANAの成田発香港行の便は1月9日~22日の間、フライトが停止される。すでに22日までのウェブ上予約はできない。しかし、フライト制限が解除された後の最初のフライトである東京発の25日、折り返しの26日の便のウェブ予約は可能となっている。
一方で濃厚接触者については規定を変更した。衛生防護中心(CHP)の傳染病處(Communicable Disease Branch)の張竹君主任は1月10日、濃厚接触者の隔離期間を21日から14日に短縮すると発表した。即日適用される。
香港はゼロコロナ政策を推進していることから、濃厚接触者は基本的に、竹?湾檢疫中心(Penny's Bay Quarantine Centre)で21日間の隔離をしなければならなかった。しかし、昨年12月31日にオミクロン株の市中感染が初めて発見されてから濃厚接触者が急増した。張主任は「検疫センターのベッド数がひっ迫してきたことと、オミクロン株は潜伏期間が短い特性があり、海外からのケースのほとんどが14日以内、香港での場合でも2、3日で発症しているため」と、短縮する理由を語った。隔離終了後1週間は経過観察期間となり、19日目に社區檢測中心(Community Testing Centres)で強制PCR検査を受けなければならない。