尖沙咀の「DON DON DONKI ミラプレイス2」店(B1 floor, Mira Place2,118-130 Nathan Road,Tsim Sha Tsui,Kowloon HongKong)一角に6月24日、日本米をテーマとしたコーナー「安田精米」が登場した。経営は、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・イン ターナショナルホールディングス(PPIH)グループ傘下の泛亜零售管理(香港)。
同社では昨年秋、葵涌(クワイチョン)に昨年自社精米所を立ち上げ、精米したての日本産の米の販売を開始。5種類の特A米を、それぞれ白米、無洗米、2キロと5キロのパックで販売してきた。北海道の「ななつぼし」「ゆめぴりか」、青森の「まっしぐら」、秋田の「あきたこまち」、栃木の「こしひかり」を選定し、精米日をパッケージの表に記して商品を並べてきたが、より精米の時間を短縮し、香港人が求める「新鮮さ」に応えるため、リアル店舗で精米して直接コミュニケーションを取る場所が必要だと考え、新ブランドを立ち上げたという。
階段下のスペースを有効に使い、販売スペースを設けた。品種は「ななつぼし」に絞った。おにぎりと炊きたてご飯(6香港ドル/100グラム)、精米パック(59香港ドル/1キロ、29香港ドル/300グラム)を販売する。
おにぎりは全部で7種類を用意した。「ノルウェー産鮭」「福岡県産明太子」(以上23香港ドル)をはじめ、「海老(えび)の天ぷら」「黒毛和牛」(以上25香港ドル)、「日本産うなぎのかば焼き」「北海道産いくら(以上35香港ドル)などは、もともと同店のおにぎりコーナーで扱っていたものもあるが、今回の販売に向けて、「一つ一つの具を吟味して味付けなどを研究した」という。試験販売や初日は和牛やウナギに人気が集まったようだが、ビーフも和牛以外も含めて試食したり、ランクを吟味したりして、A4の黒毛和牛の採用に至った。
水は軟水に変えたものを使い、塩は沖縄の粟国の塩を採用。塩を決めるだけでも30種類程度を試したといい、のりは有明産の香り豊かなものを使う。同プロジェクトには接客が好きな社員を中心に8人のチームを組み、「なぜ水の分量を守るのか、研ぐのか」などをトレーニングしていったという。
オーダーしてから握るため、数分程度の時間を要するが、それぞれのおにぎりは温かさを保ったままアルミに巻いて、のりもくっつかないようにアルミホイルを工夫して包装する。環境への配慮からも紙のパックなどを用意して、なるべくプラスチックを使わないように気を遣う。パッケージには「1時間以内に食べてもらうのがお勧め」と記す。
販売する白米も玄米のものを用意し、それを玄米、三分、五分、白米、無洗米の5つから選べるようにした。現在2キロの購入客に300グラムのキューブのパックを進呈している。
コロナで各量販店が試食を自粛する中、「このライブ感ある場を試食の機会と捉えてもらえたら」と担当者は話す。同店で試験的にスタートし、今後、各店で「安田精米」を展開していきたい考え。香港の店を運営する泛亜零售管理(香港)社の竹内三善董事長兼社長は「ご飯は香港の人も毎日食べるもので、主食として広がっているもの。ご飯を通じてより健康になってほしい」と考え新業態の立ち上げたという。「日本の米は安心安全でおいしい。安田という名前にした」と話し、「おにぎりで日本米のおいしさを感じてほしい」とも。「香港の人は健康に気を付けている人が多い。工場だと多少の添加物もあるが、その場でお米と具材であったかいまま、ホイルで巻くことで、環境にも配慮しながらご飯と具材だけで勝負してみる。日本語の『いただきます』の言葉に込められた感謝の気持ちなども一緒に伝えていくため、店頭やカードに『感謝』のメッセージをちりばめた」と思いを込める。
営業時間は8時~22時。当初の売り上げは1日300個ほどを見込む。