香港で8月11日~15日の5日間にわたり、「香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)フードエキスポ」が開催された。今年も「ビューティー&ウエルネス・エキスポ」「香港国際ティーフェア」などと併催された。
中秋節も近いことから多くの月餅販売のブースが並んだほか、日清食品、ヤクルトなど香港に根を張った企業などが大型ブースを展開。まとめ売りで特別価格を提示するなど、多くの香港人が「食」に飛びついた。出展社・団体は1000を越え、来場者は43万人を記録したという。
コロナ感染拡大前は毎年多くの日本関連ブースが出展してジャパンパビリオンが設けられ、年間を通じても最も日本からの出張者も多いエキスポの一つだったが、今年はまだ容易に来港できない中、JETRO香港、青森県、青森商品の販売を展開したJALサテライトなどが香港に向けてアピールした。
青森県からは3年ぶりに、三村申吾知事も香港を訪れた。今年6月に香港貿易発展局のマーガレットフォン総裁が青森を訪問したことを受け、「このフードエキスポでの覚書(MOU)締結式を行いたい」という香港側の希望もあり、相互に訪問をかなえた形で行われた。
青森県はコロナ以前、東北地方の中でも最も多くの香港人が訪れ、チャーター便が運航した実績もある重要市場の一つ。今回のMOU締結により、インバウンドに加え、経済的なつながりをより強化していくことが表明された。これまでもリンゴやホタテの主要輸出先である香港には、これらに加え、「青天の霹靂」「まっしぐら」などの青森県産米、メロン、桃、山芋、ニンニクなどの輸出も伸ばしていきたい考えだ。
このMOU締結により、三村知事は「香港貿易発展局とのネットワークを強固に構築することで、これまで課題となっていた県内企業への情報提供や商談会や企業マッチングなど商談機会の創出につなげ、香港と青森の経済交流をより活発にさせることで外貨を獲得し、県内企業の利益を拡大させたい」と意気込む。就農者の高齢化が進み、青森県においても農業の担い手不足も深刻化するなか、県民の収入を増やしていくためにも香港を選んだという形だ。
会場で、青森県はヤマト運輸と連携してブースを設けた。これは、海外輸送サービス「A! Premium」と呼ばれるスキームを復活させ、青森県から昼に発送した食材を東京を通じて翌日香港に到着させる仕組み。ヤマト運輸はコロナ禍で2020年4月からサービスを停止していたが、新しい輸送スキームで海外輸送サービスを再開する。
一般に向けた販売ブースとして展開したJALサテライトは、リンゴご関連の加工品を中心に販売した。リンゴ果汁の中に、青森県産のふじの果肉を入れた二階堂のゼリー商品「あおもり林檎(りんご)ジュエリー」が一番の売れ行きだったという。リンゴの形をしたクッキーで青森県産のリンゴが入ったバタークリームをサンドし、リンゴの形をしたクッキー「りんごのきもち」なども含め、多くの商品が完売した。