見る・遊ぶ

香港M+で草間彌生さんの大規模回顧展 200点以上を展示、屯馬線にはカボチャのラッピング電車も

草間彌生 撮影 Yusuke Miyazaki Courtesy of Ota Fine Arts, Victoria Miro, and David Zwirner (c)YAYOI KUSAMA

草間彌生 撮影 Yusuke Miyazaki Courtesy of Ota Fine Arts, Victoria Miro, and David Zwirner (c)YAYOI KUSAMA

  • 88

  •  

 アジア初の現代ビジュアル・カルチャー美術館「M+」(M+, West Kowloon Cultural District, 38 Museum Drive, Kowloon, Hong Kong TEL 2200 0217)で11月12日、草間彌生さんをテーマにしたアジア最大の回顧展「草間彌生:一九四五年至今(Yoyoi Kusama:1945 to Now)」が始まった。M+が開館1周年を記念して開く企画展で、初の有料展示となる。

香港地下鉄MTRも「南瓜(かぼちゃ)」をモチーフにした装飾を

[広告]

 同展開催に当たり、香港鉄路(MTR)は12月27日まで、屯馬線(Tuen Ma Line)で草間さんのモチーフであるカボチャを車両にちりばめた特別列車を運行する。MTRは11月12日・13日、19日・20日の4日間は12時~16時の間、「確実に」この車両を走らせると発表した。車両内は、草間さんのカボチャの世界感で仕上げ、ドアや窓も全てカボチャのデザインで統一した。水玉の中にQRコードを埋め込み、スマートフォンをかざすとより詳しい情報が得られるようにしている。

 M+は開幕当初から、東京のすし店「きよ友」をそのまま同館に移設したり、昔のウォークマンを展示したりするなど日本の作品展示にも力を入れてきた。今回のイベントについて、譚雪凝(Isabella Tam)アソシエイトキュレーターは「アジアの芸術家にフォーカスしていこうという考えの中で、草間さんを紹介しようと4年前から企画していた。しかし、コロナ禍でプロジェクトを進めることが難しく、ようやく開催にこぎ着けることができた」と安堵(あんど)の表情を見せる。

 同展は2階「西展廳(West Gallery)」を中心に開催。草間さんの長年のテーマ「無限(Infinity)」、死について考える「死亡(Death)」のほか、「生物宇宙(Biocosmic)」、「生命的力量(Force of Life)」など多彩なテーマで、草間さんの思いが伝わる作品群を多数展示。グランドフロアの入り口奥には草間さんの代表作「南瓜(かぼちゃ)」を展示しているほか、B2フロアでは「渇望天堂的愛(Aspiring to Heaven’s Love)」と題し、黒と白の水玉の気球と鏡を駆使した幻想的な空間を作り出している。

 同展の中心人物で、アメリカ在住のキュレーター、これまでに草間さんのほか、奈良美智さんなどの展示会をアメリカなどで開催してきた経験のある吉竹美香さんは「アメリカ時代の作品を取り上げることが少なくないが、今回は日本に帰国してからの作品の紹介にも力を入れた。香港で草間さんは、水玉だったり、カボチャだったりというマーケットアーティスト、ポップアーティストの位置づけかもしれないが、戦前から苦労してきた経験などを通して培われた反破壊の考えなどを見てほしい」と話す。

 入場料は、一般(12歳~59歳)=240香港ドル、優待(7歳~11歳、60歳以上)=150香港ドルで、西展廳以外の通常の展示エリアも鑑賞可能。開館時間は10時~18時(金曜は22時まで)。月曜休館。2023年5月14日まで。 

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース