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和紙で作るデニム「WASHI」、香港で初のポップアップ 「岡山を正しい価値で売りたい」

ハイサンプレイスで展開中のポップアップショップ

ハイサンプレイスで展開中のポップアップショップ

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 香港のショッピングモール「ハイサンプレイス(希慎廣場)」の1階アトリウムで現在、和紙を使った岡山デニムを販売する「WASHI」がポップアップショップを展開している。天然素材の和紙を自社の撚糸技術で「強くソフトな風合いのユニークな糸」に加工後、力織機を使いデニム生地に仕上げ、ビンテージミシンで製品にしている。

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 同施設は現在、屋外のストリートと屋内のショッピングモールを結びつけ、「街並み」をデザインして通りの延長線上でショッピングをしてもらうシームレスさを目指すイベント「“LIVE MY ATTITUDES” Trendsetter @ HP」を展開中で、モールからの呼びかけもあり、その一角にコーナーを構えた。

 「なぜ和紙で作られた家計簿はきれいに残っているのだろう」…これが同ブランドを立ち上げた吉川浩幸さんが和紙をデニムと組み合わせようと思ったきっかけ。岡山生まれの吉川さんは、18代続く酒蔵の次男として生まれた。来年で350年を迎える蔵だというが、実家で代々受け継がれてきたものを見ていたある日、「和紙で作った家計簿」が目に留まったという。天然素材の和紙は「夏には涼しく、冬には暖かく、速乾性、形状記憶性などがある」という効果を持つが、最大のメリットは「抗菌性」だという。デニム好きは洗わないという人も多いが、バクテリアがどうしても匂いを発生させる。しかし同ブランドの商品は、「この抗菌性で匂いが出にくく、いつでもサラサラである」ことに加え、水などでゆっくり押し洗いして洗うこともでき、汚れだけを落とすこともできる。「和紙素材は軽く、洗った後も夜に干しておけば翌朝には着ることができるのもコットンのデニムと違う特徴」と吉川さん。

 学生時代からものづくりという面で ファッションに興味を持ち、大学卒業後すぐに海外に飛び立ち、欧州を中心に世界を飛び回る人生を歩んできた。海外で出会った岡山デニムに携わって30年以上、大量生産の現場では、常に納期やコストの問題が立ちはだかり、そのまま受け入れる職人など、妥協で商品を作っている様子を目の当たりにしてきた。「良いものを正統な価値で売りたい。岡山を高く売りたい」と話す吉川さんは2000年頃に「独自の何か」を作りたい夢を持つようになり、2013年、「WASHI」を立ち上げた。

 同店で紹介する和紙「WASHI ナンバー6」のプロセスは長く、開発後も、新たな新製品開発に向け常に研究を続けているという。開発は糸だけで7年、 その後も繰り返し品質改良を行ってきた。さらに7年の品質改良後の14年後、ようやく「強度も強く柔らかくて体になじむ」製品の開発に行きついたという。

 もともと吉川さんの専門分野でもある岡山での「洗い」工程は20にも及ぶ。ケミカルを使わず、一本のデニムを数カ月という時間をかけて職人技の手で加工する。「洗い」にはそれぞれ名前を付けているという。同ブランドで扱う製品は6種の「洗い名」を定番として付けた。吉川さんが最も気に入っている定番「HANAGOROMO」は、3つの異なる洗いを組み合わせ、華やかに咲いた花がモチーフになっている。ほかにも秋の季語でもある「SOURAI」は、「風が肌に触れて去っていくような肌をすり抜けていくような雰囲気を出したかった」と、名付けた理由を説明する。

 同ブランドでは、タグやポケット布も含めて100%オーガニックコットンを使っている。糸は「コアヤーン」と呼ぶ糸の外を綿で包んだ糸を使うことで、「デニムと糸の色が同時にビンテージ色に変色する楽しさも提供できる」という。コインポケットは、小銭を入れてもポケットが壊れない補強を施すほか、逆立ちをしてもコインが落ちないようにダブル補強している。後ろポケットの切り替えは着用後にポケットがビンテージ仕様に変化していくよう縫製したり、レザーパッチが左側についているのも「ほかの大量生産のデニムと違う方にしたかったから」と話す。同ブランドを見分けるジーンズ脇の小さな「W」のステッチについても、「こうやってさりげない方が日本らしいでしょ」と吉川さんは笑顔をのぞかせる。

 デニムパンツのコレクションは8,000香港ドル~。バックやアクセサリーなど手に取りやすいアイテムもそろえる。開催時間は11時~20時。16日まで。

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