沙田にある香港文化博物館(1Man Lam Road, Sha Tin, New Territories, Hong Kong, TEL 2180 8188)で現在、ベルサイユ宮殿を紹介する企画展「Virtually Versailles」が開催されている。
ベルサイユ宮殿にゆかりのある貴族たちに自分の顔を合成した写真が撮れるアトラクションも
ベルサイユ宮殿の公式巡回展を、5月に開催する芸術祭「フレンチメイ」の一環として香港にも持ち込んだ。視覚、聴覚、嗅覚を統合したインタラクティブな展開を多数企画する。
ベルサイユ宮殿はパリの南西キロ、フランスのイブリーヌ県ベルサイユにある世界遺産だが、もともとはルイ13世が購入した「狩猟小屋」として、その前身が建てられた。1661年にルイ14世が建設に着手し、建築家ル・ボーとマンサール、画家・装飾家のル・ブランの設計と内装によってほぼ大部分が完成し、1682年に正式に王宮が移されて、当時の政治の中心となった。コロナ禍前は、間600万人以上の観光客が訪れる人気観光名所だったが、今回は、ベルサイユ宮殿を知っている人、知らない人双方が理解を深められるように企画したという。
展示は、「タイムトラベル ベルサイユ」「ベルサイユの輝き」「ベルサイユのスタイル」「ベルサイユの自然」「ベルサイユの革新」「ベルサイユの一日」の6つのテーマセクションに分かれている。会場にフランスの著名な調香師がベルサイユのために特別に作った香りをたくなどの工夫も凝らす。
フランスの大手広告代理店BETC社とVoxygen社のエンジニアが協働し、宮殿の歴史家、音声家からの協力も得て、フランスのケーブルテレビチャンネルでルイ14世の声を復元するプロジェクトに着手。ルイ14世の健康記録や手紙などを含めた広範囲な研究を通じて、死後300年たったルイ14世の声の復元に成功したことも紹介する。
360度の高精細パノラマ映像を通じて、「鏡の間(鏡の回廊)」「王室オペラハウス」、ルイ14世像がある「ビーナスの間」など、宮殿の有名な部屋をデジタルで再現する空間も用意。ほかに、小さな子ども向けのARトレジャーマップや、シャトーの歴史について書かれた子ども向けのデジタルブックレットも用意する。
マリーアントワネットやデュ・バリー夫人など、自分の顔をはめ込みたい人物を選び、自分の顔の写真を写して合成するアトラクションなどのコーナーもあり、QRコードで読み取るとスマートフォンにダウンロードできる。
フランスと香港の関係は、アート関連を通じても多く取り組まれている。ルーブル美術館は、香港故宮博物院の開館に合わせて企画した展覧会の枠組みで数々の名画を紹介したり、在香港フランス総領事館もフランスの最新技術開発を紹介する「フランス科学祭(French Science Festival)」と「デジタルノーベンバー(Digital November)」などを開催したりしてきた。
開催に先立ち、4月19日に行われたオープニングセレモニーでは、文化體育及旅遊局(LCSD)の楊潤雄局長は「世界で最も権威のある世界遺産と人気の観光スポットの一つであるベルサイユ宮殿と手を組み、デジタル資産を通じて宮殿全体の壮大さを表現する、このクリエーティブで興味をそそる展示を行うことを光栄に思っている」と話した。
開館時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。火曜休館。入場料は10香港ドル。7月9日まで。