香港政府は5月5日、ごみなどの廃棄物の罰金に関する条例の修正案である「2023年罰款及定額罰款(公衆地方潔淨及阻礙)(雜項修訂)條例草案(The Fines and Fixed Penalties (Public Cleanliness and Obstruction) (Miscellaneous Amendments) Bill 2023)」について官報で告示した。
早ければ5月17日に立法会に法案が提出される予定で、立法化されば、3カ月間の市民への告知期間の後、法律が施行される。個人がごみをポイ捨てした場合は3,000香港ドルが科されるほか、店舗や建築関係などから発生した廃棄物を不法投棄した場合は6,000香港ドルの罰金となる。
香港は土地が狭いこともありごみの廃棄場所の確保も苦労してきたほか、香港社会として基本的に分別収集としてごみを捨てる習慣がなく、ごみの減量化がなかなか進まない現実がある。香港政府は、街角や一部のマンション内に種類別のごみ箱を設置するほか、香港内各所に設置した「回収環保站(Recycling Stations)」を通じてリサイクルを促してきた。2009年7月にレジ袋を有料化し、今年から専用の有料ごみ袋で廃棄をすることを義務付ける予定など、さまざまな取り組みを行ってきた。
しかし、香港人はごみに関しての意識が依然として低く、店が不法に捨てるケースについて2019年は7612件だったが、2021年は1万4897件とほぼ倍増したほか、個人のごみのポイ捨てなども増えており、政府の取り組みが功を奏していない。香港政府としては、罰金額を大幅に増やすことでポイ捨てを減らそうという考え。
個人は、以下の7項目に関与した場合、これまで1,500香港ドルの罰金だったが、施行後は3,000香港ドルになる。店による不法投棄、建築物やその他の大量の廃棄物については、2項目が該当する場合において、罰金額を1,500香港ドルから6,000香港ドルへと大幅に引き上げる。悪質な場合は、担当者が裁判所を通じて罰金の引き上げを求めることも可能となる。
7項目は、(1)批准されていないプラカードやポスターの掲示、(2)公共の場所でのごみや廃棄物の処理、(3)公共の場で痰(たん)を吐く、(4)犬のふんが街を汚した場合、(5)郊野公園(Country parks)や特別地域での廃棄物処理、(6)郊野公園や特別地域で痰を吐く、(7)海上でのごみ処理。
特に、生花店や青果店の前の地面などには、花の余分な葉や茎、野菜の不必要な葉などが落ちている。花や野菜が入っていた発泡スチロールも無造作に歩道に置かれていたり、ビルとビルの間に不法投棄されていたりするケースも少なくなかった。これらは、言うまでもなく不衛生であり、街の景観も害していたが、こうした店が適切なごみ処理することで、街並みが改善されることが期待されている。