11月1日の「本格焼酎&泡盛の日」に合わせ、香港でも九州各県事務所と沖縄県が共同でプロモーション活動に取り組む「焼酎・泡盛プロモーション月間」が11月1日、スタートした。
同キャンペーンでは香港内のレストランやバー34カ所をリストアップし再編集することで、日本料理店での通常メニュとしての焼酎、泡盛だけでなく、香港のバーテンダーによるオリジナルカクテルの考案まで、さまざまなスタイルで焼酎、泡盛を楽しんでもらう機会を提供するもの。期間は1カ月間で、1日、対象レストランの一つである中環のレストラン「Yurakucho」で、関係者を集めたキックオフイベントも開催された。
同グループは、「県・産地・民間」一体となって香港における焼酎・泡盛プロモーションのプラットフォームを創り、認知度向上及び販路拡大・輸出拡大を図ることを目的に、2022年6月設立時の構成メンバーの熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県に加え、2022年8月に福岡県も加入し現在の体制に至っており、今後は大分県も参加の意向を示している。
日本から香港への酒類輸出は全体的に伸びている。特に清酒の成長が著しい一方、焼酎・泡盛はやや縮小傾向にある。2022年時点で焼酎・泡盛の輸出量構成比は0.9 %、金額ベースではわずか0.6%に過ぎない。この状況を受け、香港内に事務所を構える九州各県と沖縄県は共同でプロモーション活動に取り組み、香港での消費拡大を狙う。
具体的には、灣仔のバー「MIZUNARA」では宮崎県の麦焼酎「青鹿毛」を使ったカクテル「Roasty Bloody Mary」や沖縄の泡盛「さくらいちばん」を使った「Ryukyu Rose」、アイランドシャングリラホテル内の「なだ万」では、麦は宮崎の「中々」、芋は鹿児島の「侍士の門」、コメは熊本の「鳥飼」、アズキは福岡の「あずき」と素材別に示してグラス(70~85香港ドル)で提供している。
昨年度、同グループは香港における市場動向の調査を実施した。「消費者調査」では、焼酎・泡盛のシェアから「認知度が低い」という前提に調査対象を月1回程度以上飲酒し、かつ焼酎・泡盛を過去飲んだことがある一般消費者300人に対してアンケート調査を行った。過去焼酎・泡盛の飲酒経験があるにもかかわらず、約25%が「そもそも焼酎・泡盛を割って飲むという飲み方を知らない人」が存在しており、認知度向上に加え飲酒体験の重要性も確認できている。「流通・販売事業者向けインタビュー調査」では、香港で「焼酎・泡盛」に深く関わっている事業者=業界関係者12人にインタビューを実施したという。香港においては、日本食以外のレストラン・バーにおける購買意思決定権者(シェフ、ソムリエ、バーテンダー)における焼酎・泡盛に関する認知の不足、トライアルバリアが依然として存在していること、香港域内での焼酎・泡盛の消費拡大に向けては焼酎・泡盛を別々に、分散した形でプロモーションや認知拡大を図るのではなく、「焼酎・泡盛」というカテゴリー全体のプロ一般消費者を含めた消費者への認知の拡大」が最大の課題との指摘を受け、この共同プロモーションが実現した。
今後の展開について、同グループを率いる熊本県香港事務所の宮原智彦さんは「我々5県は、本来競合関係にあるが、まずは協力して香港の皆さまに焼酎・泡盛を知って飲んでもらう土俵を作ることが重要」と話す。そのためには、焼酎・泡盛を知ってもらう機会、飲んでもらう機会を作ることで購買につなげたい考え。今後の具体的な取り組みとしては、カクテルコンペティションの実施、焼酎・泡盛への理解を深めてもらうための上位入賞者の蔵巡りツアーへの招聘(しょうへい)、焼酎・泡盛の応援団となる「アンバサダー」の制度なども始動する予定だという。