尖沙咀の香港藝術館(HKMoA)内にあるダイニング「Hue Dining(フエ・ダイニング)」(1/F Hong Kong Museum of Art,10 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Hong Kong、TEL 3500 5888)が5月25日、季節限定のアフタヌーンティーセット「Between Black and White at Hue Dining」の提供を始める。
「呉冠中ー黒・白・灰 Between Black and White(黒と白の間)」で展示中の作品
店内にもアートをちりばめる同店は、コンテンポラリー・アート・ギャラリーの一つであるタニヤ・バクスター・コンテンポラリー・アート(Tanya Baxter Contemporary Arts)と提携し、オープン時よりレストランのダイニングルームにアート作品を展示し、オーストラリアモダンダイニングメニューを提供している。
今回は館内の展示と連動した企画の限定アフタヌンティーメニューで、新しくエグゼクティブシェフに就任したラムゼイ・ウォンさんが、呉冠中(Wu Guanzhong)の作品からインスピレーションを得た色彩と質感でアフタヌンティーのメニューを完成させた。
香港藝術館では現在、呉冠中のテーマ別展示を会期を分けて開催している。中国近代絵画の父とされる呉冠中が生前、香港とも深い関わりを持ち、香港で何度も展覧会を開催し、さまざまなアートイベントに参加。香港の街角にスケッチに出かけ、香港の都市風景を題材にした作品も残している。呉冠中とその家族は長年にわたり、呉冠中の作品や個人的なアーカイブを継続的にHKMoAに寄贈し、450点を超える膨大なコレクションを形成してきた。
今回の展示は、3月に呉冠中の息子である呉克宇さんが、呉冠中芸術基金(Wu Guanzhong Art Sponsorship)を設立し、呉冠中と関連する中国近代芸術の振興を支援するため、1億香港ドルを寄付し、それを記念した展示会を3つの会期に分けて開催している。その第1弾が「呉冠中ー黑・白・灰Between Black and White(黒と白の間)」。
伝統的な東洋の水墨画と西洋の油絵を融合させ、「冷たく鈍い色に見えるであろう黒、白、灰色を彼の筆で感傷的な色調に仕上げている」という呉冠中の哲学のように、同セットは、アジアとヨーロッパの風味の調和を表現し、ラムゼイシェフが「特に重なりと質感に重点を置き、遊びを入れ入れながらもエレガントに仕上げた」という。
セットには、クロテッドクリームを添えた焼きたてのスコーン、黒ゴマと白ゴマのドーナツのほか、「独創的な」スイーツとセイボリー料理を用意した。
セイボリーは、ピスタチオ、パプリカをトッピングし、ギリシャでお菓子などによく使われる「カタイフィ」という細い麺を揚げたものにクロマグロのセビーチェ、和牛のタルタルにキャビアをのせ、ホースラディッシュクリームをトッピングしたタルトなどを考案した。
スイーツ類は、ライチと豆腐のプリンをブラックココアのサブレで挟んだ「Reminiscences of Jiangnan(江南の追憶)」、黒ゴマのペストリークリームと黒ゴマのバタークリームを詰めた竹炭のシュークリームのほか、ヘーゼルナッツの皮とダークチョコレートのチーズケーキ、黒糖、ウーロンムースに、タピオカボール「ボバ」をトッピングしたタルトなどを並べる。
同セットメニューの提供は土曜・日曜の15時30分~17時30分。2人用のセットを680香港ドルで提供。7月28日まで。