中国商用飛機 (Comac)が製造する「C919」を使ったチャーター機が6月1日、香港の大学生を乗せて上海まで運航される。
今回のチャーター便に搭乗するのは、交流プログラムに参加する150人の香港の大学生。中国本土外での商用飛行は初となる。香港は1国2制度のため、中国本土の人たちが香港に入る際に通行証が必要であるのと同様に、今回のC919の中国本土以外での飛行、つまり初めての商用飛行は大きな意味をもつ。
2007年に開発が始まり、2017年に初飛行に成功したC919は、座席数が158~192席の中型旅客機。エアバス「A320」やボーイング「737」と競合する。カタログ価格は1機あたり9,900万米ドルとされる。
三菱重工業はジェット機開発について頓挫したが、ホンダ、ブラジルのエンブラエル、カナダのボンバルディアなどの世界にはいくつかの航空機メーカーがある。ただ、世界の旅客機市場は事実上、ボーイングとエアバスの2強が続いてきた。
ヨーロッパの欧州航空安全機関(EASA)とアメリカの連邦航空局(FAA)はC919を承認していないことから、欧米での運航は難しいと見られている。しかし、最大航続距離が5500キロであることから、広大な国土を持ち、14億人の抱える巨大市場の中国国内の需要だけで十分で、アジアや東南アジア路線であれば当該航空当局次第では商業飛行の可能性はある。これはエアバスとボーイングにとっては中国国内市場とアジア市場の一部を失う可能性を意味しており、業績にも影響を与えかねない状況だ。事実、現在は中国東方航空が運航しているが、中国国際航空と中国南方航空が各100機ずつ発注するなど、既に受注が1000機を超えている。
香港の翼、キャセイパシフィック航空の林紹波(Ronald Lam)CEOは「C919により市場が活性化した」と発言しており、同社がC919の導入に否定的ではないことも明らかになった。C919は将来、少なくとも中国本土内、中国と香港を結ぶ路線について存在感が増すと見られている。