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香港と中国本土間の即時決済システム「ペイメント・コネクト」始動

中国本土(手前)と深?河を挟んだ香港の境、利便性の高い決済のシステムが進化していく

中国本土(手前)と深?河を挟んだ香港の境、利便性の高い決済のシステムが進化していく

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 中国人民銀行と香港金融管理局は6月22日、香港と中国本土間のリアルタイム決済システム「ペイメント・コネクト(Payment Connect)」の運用を始めた。

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 ペイメント・コネクトは、香港の決済システム「FPS(Faster Payment System)」と中国本土の決済システム「IBPS(Internet Banking Payment System)」を連携させることで、両地域の住民、金融機関の間でのリアルタイム決済を可能にしたもの。香港から中国本土への送金は24時間365日可能で、決済に必要な情報は送金先の携帯電話番号または口座番号のみと、利便性が高い決済手段となっている。

 香港のFPSは香港金融管理局が金融革新を目的に取り組んだ「スマートバンキング構想」の一環で、2018年に導入された決済システム。FPS導入前、香港では銀行間の送金に時間がかかることや、銀行と電子マネー間の相互接続の不十分さが課題となっていたが、FPSの導入により、香港内の銀行と電子マネー間の送金が24時間365日リアルタイムで可能となった。

 FPSを運営する香港銀行同業結算有限公司(HKICL)の調査によると、2024年時点、銀行口座や電子マネーにひもづくFPS識別番号ベースで登録件数は約311万件で、2018年のサービス開始から右肩上がりで増加している。

 今回のペイメント・コネクトの運用開始により、FPSでは香港内での送金に加えて中国本土への送金も可能になり、サービスの利便性がより一層向上したことになる。

 ペイメント・コネクトの利用シーンは、授業料、医療費、公共料金などの支払い、企業から個人への給与の支払いなど日常生活に関連する送金を想定し、1日当たりの送金には上限金額を設定している。香港から中国本土への送金の上限金額は、金融機関ごとに1人当たり1日1万香港ドル、年間20万香港ドルに設定した。

 6月20日に北京で開催されたペイメント・コネクトのサービス開始式典で、香港金融管理局の余偉文(Eddie Yue)総裁は「ペイメント・コネクトは、中国本土と香港の協力強化における重要な取り組みの一つ。両地域の即時決済システムの接続は、越境送金の効率性を高め、貿易活動や人的交流を促進する。この発展は、香港の国際金融センターおよびオフショア人民元ビジネスハブとしての地位をさらに強化するだろう」と述べ、「ペイメント・コネクトは、両地域の住民の越境送金と決済に関する日常的なニーズに応えるだけでなく、FPSにとって越境送金の拡大における新たなマイルストーンとなるだろう」と続けた。

  運用を始めた6月22日時点では、香港、中国本土からそれぞれ6つの金融機関が参加しており、今後段階的にサービスを展開し参加機関を増やしていく予定だという。香港からは「中国銀行(香港)」「東亞銀行」「中国建設銀行(亞洲)」「恒生銀行」「香港上海銀行」「中国工商銀行(亞洲)」が参加している。

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