香港内で日本米を使ったおむすびを提供する「華御結(はなむすび)」は11月12日、同社14号店となる太古店を地下鉄MTR太古駅構内に出店した。
同店を運営する百農社は2010年に香港で創業後、一般的には「冷たいおコメは食べない」といわれる香港市場に果敢に挑戦。単品だけでなく、スープやサラダ、総菜とセットで販売する組み合わせを提案するなどして、香港市民に受け入れられてきた。最近ではコンビニエンスストアやスーパーなどもおにぎりの取り扱いを始めた。
同社では11月5日、コメを新潟魚沼産だけに特化し、お弁当を中心に展開する高級ライン「Ten-Musubi」を中環のifcに出店。おむすびの具材も定期的に新商品を投入し、かつお節サンマや和風たこ焼きといった変わり種も登場した。1個当たりの値段は14~16香港ドル程度。
今回出店の太古店は駅構内にあることから、他店舗で展開するスープを規定上販売できない。董事長の西田宗生さんは「スープを販売できないが、おむすびにはスープやみそ汁が必要だ」という考えがあり、永谷園の商品をそろえる。即席カップのみそ汁をはじめ、「イチゴしるこ」などフリーズドライも販売する。
ほかにもスイーツを充実させ、香港初進出となる京都吉祥庵は、2種のゼリーを米粉生地で巻き込んだプレミアム抹茶ロールケーキ「茶の雫」(178香港ドル)や、生チョコレートで餅を包んだショコラ大福(88香港ドル)などをラインアップする。
香港に大丸があった時代から大福を販売してきた実績を持つ岩手の「芽吹き屋」も、定番の黒豆塩大福をはじめ、クルミ大福やさくらもち、三色団子などバラエティー豊かなアイテムを並べる。同社は「1977年から香港との取り組みはスタートしたが、当時は大福を冷凍させる技術考えるなど時代によって取り組みが変化してきた」と振り返る。
同社ではおにぎり専門店としてのブランドに、他のカテゴリを加えることで顧客の選択肢や購買機会を増やしたスタイルの店舗を今後も出店していく考えだが、これらの異なる種類の組み合わせの背景にはANAフーズ社のネットワークがある。百貨店向けにギフトなどを提案する同社は、「香港市場が求めるものを同社が取引する1000社のリストの中から今後も見極めていきたい」とする。
営業時間は8時~21時。