香港政府は11月29日、2018年第2四半期から発行予定の新タイプの「香港身分證(Hong Kong Identity Card)」について詳細を明らかにした。偽造防止などを含む約10の新機能を盛り込んでいる。
香港のIDカードは1949年に中華人民共和国が建国されたのを機に大勢の中国人が香港にやって来たため香港政庁がそれをコントロールするため発行を開始し、7カ月後の1951年5月に配布が終了した。1960年6月に2代目が登場し、指紋と顔写真などを載せたものになったが、第3世代の1973年になると指紋などは無くなった。1983年にコンピューター化に対応したIDになったものが第4世代で、従来の紙からラミネート加工された。当時の最新印刷技術を使って個人情報を内蔵し、出入境がスピードアップされ、大きな革新をもたらしたという。1987年にはさらにアップデートした第5世代を投入。香港の中国返還後も使われるほど息が長かったバージョンで、2003年まで使われた。
2003年6月23日、現行のスマートID(第6世代)の発行が始まる。カードの大きさがクレジットカード大になったことで持ち運びが楽になったため、多くの香港市民が喜んだ。障がい者などから交換を始め、その後、出生年ごとに交換期間を決めて実施し、2007年に終了している。
今回の第7世代に当たる「第2世代のスマートIDカード」も前回と同じ方法を踏襲する予定で、2022年に現在発行されている880万枚全ての交換を終える計画。今後、政府から出生年ごとに交換期間がアナウンスされ、港島(Hong Kong Island)、九龍西(Kowloon West)、九龍東(Kowloon East)、●灣(Tsuen Wan)、屯門(Tuen Mun)、元朗(Yuen Long)、上水(Sheung Shui)、沙田(Sha Tin)、將軍澳(Tseung Kwan O)の9地区に臨時の交換センターを設ける。
交換の理由は、数年前にWindows XPのサポートの終了で適切なプログラムサポートを受けられなくなることが大きなニュースとなったが、スマートIDも現行システムの老朽化が進み、適切なサポートを受けるのが困難になってきたからだ。長い人では13年ほど同一カードを使っているため、カードの欠損やデータを入れている金色のICチップの部分が破損するなどして、再発行の数が5万5000件にまで上っていることも変更の理由とする。
新IDカードの特徴としては、2枚の顔写真を載せ、現行の大きいものが右側、小さいものが左側の写真が逆になり、写真の解像度も上げる。カード内にHong Kongの文字が刻まれるが浮き彫りにすることで触覚で分かるようにしたり、レインボー印刷でカードの文様を幾何学模様にし、カード裏面に紫外線を当てると花火の絵が現れるなど多彩な偽造防止策を施している。出入境の際にeチャンネルを使った場合、12秒かかるところが8秒に短縮される。
前回の交換作業から10年のため、多くの香港人が体験済みであり大きな混乱は無いものと予想されている。
●=草かんむりに全