日本政府観光局(JNTO)が1月16日、2017年の訪日外国人観光客統計を発表し、香港の速報値は前年比21.3%増の223万1500人と200万人の大台を大きく超えた。
訪日客全体でみると同19.3%増の2869万900人と調査を始めた1964年以来過去最高を更新した。同局によると、航空路線の拡充、クルーズ寄港船の増加、ビザ要件の緩和、継続的な訪日旅行プロモーションと、これまで同様の要因が増加を後押ししたとしている。
国・地域別でみると、トップは中国が同15.4%増の735万5800人、韓国が同40.3%増の714万200人、台湾は同9.5%増の456万4100人とトップ3の順位は不動で、香港も4位を維持し、このトップ4が訪日客全体の7割を占めた。
外国人旅行者の消費総額は同17.8%増の4兆4,161億円と過去最高を記録し、1人当たりの支出額は同1.3%減の15万3,921円となった。そのうち、香港が全体に占める割合は7.7%の3,415億円で、前年より消費総額は15.9%増えた。ただし、1人あたりの消費額は同4.5%減の15万3,055円と2年続けて前年を割りこんだ。内訳は宿泊代が4万2,690円、飲食費が3万3,129円、交通費が1万7,586円、娯楽サービス費が4,628円、買い物代が5万5,017円、その他が5円だった。過去2年の下落した最大の要因は買い物代の落ち込み。他の項目は例年とほぼ数字に変わりはないが、買い物代だけは2015年の7万2,145円、2016年の6万2,389円と減少している。香港はそもそも他国よりは生活水準が高いため物質的には他国より満たされているほか、多くの日系企業も香港に進出し販売をしており、日本のモノへの関心は薄まっている様子が窺える。近年、「体験型」の観光が求められているといわれている中、多くの香港人が日本の地方都市に行くことからも読み取れるように、各地域ならではの体験をどう提供し続けていくかが重要な要素となる。
男女比では、男性が38.7%、女性が61.3%。2年前は男性が48.2%、女性が51.8%とほぼ半数であったことから女性の割合がかなり増えたことが分かる。男性の比率の低さは主要20カ国・地域でみるとタイに次いで下から2番目だった。年齢別では、20代=30.3%、30代=32.5%、40代=17.2%、50代=13.5%、60代=6.6%で、これまでよりも若者が訪れる割合が高くなっている。平均宿泊日数は6.4日で、4~6泊する人が全体の52.9%を占めた。
香港からは現在、新千歳、成田、羽田、中部、関西、米子、岡山、広島、高松、福岡、宮崎、熊本、鹿児島、那覇、石垣と15の空港に直行便が就航し、合計週437便が香港と日本の各都市を結んでいる。他にチャーター便が組まれるほか、将来的に定期就航を見据えたチャーター便の運航機会も多い。個人旅行パッケージと個人手配を合わせた個人旅行の割合が9割を超える市場であることも特徴的で、日本を訪れたことがある人のうち2割以上が10回以上訪れていることも驚異的な数字だ。最近では、先に目的地を決めずにLCCなどの低価格のチケットを購入してから、旅行のプランを立てる人も多い。九州各県は香港に事務所を置くことに加え、多くの直行便が就航し九州連携で積極的にアプローチを図るなどしたことも作用した結果、ブランド化している北海道が不動の3位の座を九州に明け渡した。
JNTOは香港市場について、重点地域である北海道(道北、道東、道南エリア)、東北、中部(昇龍道)、中国、四国など各地方の魅力を訴求し、訪日需要の地方分散化に取り組んだ結果、小松や仙台など地方へのチャーター便の就航や増便が相次いだとした。「リラックスや癒やしの旅『ゆるたび』」をテーマに、ウェブサイトやSNS などを通じた情報発信を行い、訪日ウエディングツーリズムの促進を目的としたセミナーの実施や展示・即売会への出展を行うなどして「訪日目的の多様化を図った効果が表れた」と分析する。