豚骨ラーメンが市場の大半を占める香港に4月11日、札幌のえびそば「一幻」が湾仔のホープウェルセンター近く(Shop B-F, G/F, Yan King Court, 119-121 Queen`s Road East, Wan Chai TEL: 27893799)にオープンした。
元々北海道の店には多くの香港人が訪れ、初めて出合うエビをメインにしたラーメンの味に「びっくりしたような顔をして食べていることもあった。味に厳しいという印象がある」と創業者の林直樹さんは話す。
路面店で相応の交通量がある皇后大道東と、おしゃれなバーや飲食店が立ち並ぶ船街が交差する場所にできた同店。扉を開けると天井も高く開放感ある明るい空間で、典型的なラーメン店の造りとは異なる。フランス人デザイナーが手掛けたという店内は、同ブランドが大切にする赤を使い、清潔感ある白木の4人掛けテーブル2卓と、そこを囲むように壁向きにカウンター席を備える。席数は32席。
甘エビを生かしたエビの風味が店内に広がる店内は、1回の調理に甘エビの頭の部分を一度に15キロ、1日全体で60キロも使い、ずんどうで3時間程度煮込んでスープを作っているという。
スープは、エビの風味を生かした「原味(そのまま)」、あっさりめの豚骨の「適量豚骨(ほどほど)」、こってりめの「濃厚豚骨(あじわい)」の3種類がある。そこに、みそ・塩・しょうゆから選べるようになっている。どのタイプも1杯88香港ドル(+サービス料10%)で提供する。麺は「太麺がお薦め」と言い、チャーシューは味を薄めにしてエビの邪魔をしないようにし、そこに小口切りをしたネギと、ハーフサイズの味付け卵、紅しょうがにエビのかすを練り込んで揚げた天かす、最後にスープの上に濃い茶色の香ばしいアクセントを一さじ添える。これはスープのだしを取るために使った甘エビの頭を焼いて粉末状にしたものだという。
サイドメニューは、エビのだしで炊き上げ、エビのむき身も加えて握られた手作り感覚のおにぎり(20香港ドル)やギョーザ(5個、35香港ドル)なども日本同様のメニュー。オーダーはシートに記入するスタイルで、メニューはほぼ日本と同様だが、台湾店で提供している「チャーシュー飯」(45香港ドル)は香港でも提供することにした。メニューだけでなく、あいさつなども含めた店内の雰囲気づくりも日本人が率先して行っていくと言う。「香港で時折見られるオープニングの数カ月だけ日本人が運営し、その後すぐローカル化してしまうのでなく、ずっと同じ環境が保(たも)てるようにしていきたい」と総経理の前田哲郎さん。香港市場はフランチャイズで展開するも、「日本からそのまま持ってきている味と質を守っていきたい」と話す。
1日400食程度を提供し、香港で年内に3店舗、今後3年で5店舗の出店を目指す。
営業時間は、ランチ=11時~15時、ディナー=18時~22時。