昨年度日本を訪れた香港人の中で宿泊者数が最多の伸び率を記録した青森県が現在、香港各所でフェアを開催している。青森県は香港市場に対して同県が「A!Premium」と呼ぶ独自の流通スキームで、青森県の農林水産品を最短翌日配達できるように取り組んでいる。
昨年からタッグを組む香港飲食大手・美心集団傘下のすしチェーン「千両」では、ホタテの刺し身とヒラメの刺し身を特別メニューとして展開する。今回同店で香港人に向けて提供するのは「うにしょうゆ」。濃い口のしょうゆに漬かったウニをまず崩してから、それぞれの刺し身をこのしょうゆをつける食べ方を提案する。ホタテを黒トリュフとイクラ、トビッコのサラダ、そしてオリジナルでそのまま並べるなど、違いを楽しむホタテ刺の盛り合わせ「帆立貝三點刺し身」(220香港ドル)やヒラメの刺し盛(220香港ドル)に加え、ヒラメ(198香港ドル)を煮魚、唐揚げ、塩焼きなど好みのスタイルでオーダーできるメニューもある。
青森フェアと同時に観光についても身近に感じてもらおうと、千両メンバー特典として、2カ月のフェアのうち最初の1カ月の高額利用者5組10人が青森旅行に参加できるキャンペーンも実施するなど、香港ローカル市民が喜ぶ仕掛けを用意した。
ほかにも香港内3店舗の飲食店では7月13日・14日の2日間、青森から津軽三味線奏者で弘前出身の小山内薫さんを招き、各店で青森の味覚を紹介する。小山内さんは、吉田健一さん(吉田兄弟)プロデュースの津軽三味線ユニット「疾風(はやて)」としても活動するアーティストで、津軽三味線に対するこだわりには職人的ないちずさがあるという。
もともと「稲庭養助」で長年、食だけでなく文化的なことも絡めたイベントを企画したいと考えていた同店オーナーの一人、山野辺さんの発案により実現したもの。通常より青森食材を取り扱う香港内3店舗の和食店で演奏するが、「稲庭養助尖沙咀店」は活ほや(120香港ドル)、ヤリイカ(200香港ドル)、真つぶ貝(160香港ドル)、黒ほっき(220香港ドル)、岩もずく(68香港ドル)などもシーズンに合わせて定期的に入荷して提供している。
津軽三味線の演奏は「稲庭養助尖沙咀店」では14日19時30分~、「元気一杯」では21時~、湾仔の「和幸鉄板焼」では15日19時から演奏予定となっている。
青森県は夏は新鮮な水産物で、秋の終わりごろから冬にかけては毎年前年比数割ずつ売り上げが伸びているリンゴで香港市場に勝負をかける予定だ。