香港政府運輸署(Transport Department)が1月1日、公共交通機関で月額400香港ドル以上を利用した場合、最大で300香港ドルを還付する制度の運用を始めた。
この計画は、林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官が2017年10月に行った初めての施政方針演説で盛り込まれたもので、立法会の審議を得て実施することが決まった。香港政府の財政備蓄は2018年2月時点で1兆920億香港ドルがあり、財政的に余裕があることため市民からは何らかの形で還元することを期待されていた。
具体的には1カ月の交通費が400香港ドルを超えた場合、最大300ドルを上限に25%が戻る。現金の利用は含まれず、八達通(Octopus)の利用が基本で、所得審査、年齢審査などは一切ない。
具体的な計算方法だが、1カ月の交通費が1,300香港ドルだった場合、まず1,300香港ドルから400香港ドルを控除。残り900香港ドルの25%である225香港ドルが戻る計算だ。月の利用が2,000香港ドルだった場合、まず400香港ドルを差し引くと1,600香港ドルとなる。この25%は400香港ドルとなるが上限が300香港ドルと決まっているため、300香港ドルが戻る仕組み。
対象となる交通機関は地下鉄(MTR)、軽鉄(LRT)、九龍巴士(KMB)、城巴(City Bus)、新世界第一巴士(New World First Bus)、龍運巴士(LMB)、新大嶼山巴士(New Lantau Bus)、緑のミニバス全路線、赤のミニバスは湾仔(Wanchai)-旺角(Mong Kok)や香港仔(Aberdeen)-中環(Central)など12路線、トラム、新世界第一渡輪(New World First Ferry Services)や天星小輪(Star Ferry)など13社22路線、街渡(Kaitos)…日本人にはサンパンという名前で知られている船は香港仔(Aberdeen)-鴨●州(Ap Lai Chau)など10路線、邨巴(Residents’ Services)は、愉景湾(Discovery Bay)など住民用に提供されているシャトルバス34路線、員工巴士(Employee’ Services)は企業が提供している通勤用バス14路線となる。
還付の受け方は、94あるMTR全ての駅、5つのLRT駅、フェリーふ頭22カ所、セブン-イレブン、サークルK、恵康(Wellcome)に設置された機械を利用する。機械は2種類あり、定期券などを使った場合は、指定車船票自助登記站(Designated Transport Ticket Self-registration Point)という緑の機械に向かう。そこで定期券購入時に配布される登記番号を入力するもので、1カ月以内に還付手続きをしなければならない。もう一つは、普通に乗車した場合で、そのケースは補貼領収站(Subsidy Collection Point)という青色の機械を利用する。乗車記録は全てオクトパスに記録されており、乗客は機械にオクトパスカードをかざすだけ還付が受けられる。適用期間は3カ月以内で、これを超えると還付は受けられない。
実際の還付開始は2月16日。香港政府はこれにより220万人が恩恵を受けるとし、この計画の実施のため23億香港ドルの予算を組んだ。
鴨●州=月へんに利。