香港島からマカオに向かうフェリーターミナルを持つ「信得中心(Shun Tak Centre)」に1月25日、エビスープで勝負するラーメン店「元祖エビそば 札幌らーめん縁や」((No.228-230 2/F Shun Tak Centre, 200 Connaught Road Central, Sheung Wan)がオープンした。
香港はこれまで豚骨ラーメン中心の市場として浸透してきたが、エビスープで勝負する同店は札幌で創業し、その後、東京・新大久保に進出。香港が初の海外店舗で3店舗目となる。香港ではファインダイニングなども手掛けるエピキュリアングループが手掛けるが、長く同店で働いてきた日本人も香港に常駐させる。
店内はカウンター席と4人掛けのテーブル席から成る全73席を用意。香港で毎朝、日本から仕入れたエビの大量の頭を調理し、約2時間かけてスープを炊き上げる。麺は中太の縮れ麺に絡むもので、もちっとした食感のものを使う。
すでに香港にはエビスープを看板に展開する店もあるが、同店は日本で初めてエビスープをラーメンに使ったことで知られている。もともと廃棄されていたエビの頭を、みそ汁のイメージから甲殻類とみその味の相性がいいことを発想して生まれたという。20年前の新横浜ラーメン博物館のコンテストで全国準優勝がエビスープのラーメン誕生のきっかけとなった。魚介、豚コツ、鶏ガラと香味野菜をじっくり炊いたスープに、甘エビを毎朝焼き上げてから、独自に開発した秘伝の調理方法で一手間加えて完成させる。スープの表面に浮かぶ油もエビから出た天然のもので、艶やかさほど重い味わいではなく、あっさりと仕上げている。
エビそばは全部で7種類のメニューを用意する。オリジナルのエビスープを使うものはみそ(78香港ドル)、しょうゆ、塩(以上75香港ドル)だが、日本同様約4割の客が一番人気の「みそ」をオーダーするという。焦がししょうゆ(85香港ドル)は先にチャーシューなどの具を炒めたものにエビスープを加える方法で、キクラゲ、カイワレ、白髪ネギなどのトッピングも通常のものと異なり、エビはうま味としてコクを高める役割を果たしている。レンゲに載せられたショウガを溶かしながら食べる。ほかにも、炙(あぶ)りみそや辛みそ(以上88香港ドル)などもメニューに並ぶ。
香港での試みはサイドメニューを充実させたこと。札幌ではギョーザも提供していないが、同店では、焼きエビギョーザ(33香港ドル)をはじめ、エビトースト(38香港ドル)、薩摩赤エビの唐揚げ(48香港ドル)などのエビを使ったものと、芋もちチーズ(22香港ドル)、一口コーンコロッケ(28香港ドル)など北海道色が出せるメニューも新たに開発した。
営業時間は11時~22時。