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香港で台風警報「シグナル8」解除後の新しいガイドライン発表

台風についての新しいガイドラインが発表になった香港

台風についての新しいガイドラインが発表になった香港

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 香港政府労工処(Labor Department)は6月3日、台風や暴雨による警告が解除された後の就業について、企業の対応について定めた「台風及暴雨警告下工守則(Code of Practice in Times of Typhoons and Rainstorms)」の改訂版を明らかにした。

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亜熱帯に属する香港では台風が少なくないほか、ゲリラ豪雨が降ることがある。2017年の「天鴿(Hato)」、2018年の「山竹(Mangkhut)」と2年続けてシグナル10が発令されたのは記憶に新しいが、2000年に入ってからシグナル8を記録したのは30回に上る。台風でシグナル8が発令された場合、企業は従業員の安全を確保する義務が生じるため、出勤・通学前であれば自宅待機、勤務中または学校にいるケースは、従業員、児童生徒は帰宅となる。雨の場合は1時間に70ミリ以上の雨が降る「黒色暴雨警告信号」が発令された場合はシグナル8と同じ扱いとなる。ただ、シグナル8の場合は「○時ごろに発令する」という予告が気象台に当たる香港天文台(Hong Kong Observatory)から発表される一方、黒色に関しては、予告がない点が異なる。シグナル8から3になった場合、現行では2時間以内に出勤することが求められている。

 ただ、山竹は香港のインフラに与えた影響は大きく、MTRの駅構内は人であふれ、バス停の前は長蛇の列となった。出勤が遅れる、またはできない人が続出し、12時間以上連続して勤務をした人が多数出るなど「通常営業」するには無理があった。今回の改訂では、そうした点を踏まえて行うものだ。

 シグナル8が解除されたとき、すでに大規模な停電、がけ崩れ、公共交通機関のマヒ、浸水といった「極端状況(Extreme Condition)」にあると政府が判断した場合、2時間ほど自宅で待機することができるようになるのが一番の大きな改訂点だ。2時間が過ぎる前に香港政府は、依然として極端状況であるかどうかのアナウンスをする。もし、極端状況でないとした判断が出たら、従業員は会社の規定に従って出勤することになる。ただし、体に障害がある人、妊婦、交通の便が悪い人などは状況に応じて柔軟に対応するよう求めている。

 逆に、極端状況下で通勤を求める場合は、雇用主は交通費の実費負担や安全に出勤ができるような態勢(例:送迎車の手配)を整えるほか、人員の安全を確保し、休憩や食事の用意などをする必要もあるとした。ただ、これはあくまでガイドラインであり、法的拘束力はないが、社会的には原則的なルールとなりそうだ。

 極端状況以外でも、17時半に退勤し、帰宅途中にシグナル8が発令され、退勤から4時間以内にけがをした場合は雇用主が保障する責任を負うなど、総じて、労働者の立場に配慮した内容になっている。

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