鹿児島を舞台に「日本のすごいもの」に焦点を当てて紹介する特別番組「厲害了!蘇哥兒」が6月24日、香港地上波VIU TV(99チャンネル)でスタートした。香港のゴールデンタイムに当たる夜23時から3週連続15回の30分番組となる。
番組タイトルの「厲害了」は広東語で「すごい」を表す言葉。「蘇哥兒」の発音は日本語の「すごい」に音を合わせて当て込んだもの。怒りっぽいキャラクターでも知られる香港の大御所タレント蘇施黄(Susie Wong)さんと、香港を拠点に活動する日本人タレント和泉素行(SOKO)さんが、鹿児島で20日間のロケを行った。
現在香港からの訪日外国人数は220万人に及ぶ。現在香港と鹿児島を結ぶ直行便は香港航空と香港エクスプレスにより週12便。8月からは週13便に増便される予定だ。年間の香港人宿泊者数も鹿児島では香港が1位を誇り、2018年の統計の速報値では20万人を超え、京都と順位が入れ替わり、東京、大阪、北海道、沖縄、福岡に続く第6位に付けている。
鹿児島県では現在香港市場向けにはフェイスブック「鹿児島最新最Fun」で日々情報を発信しているが、香港人のリピーターも多く、香港人の興味も象徴的な観光スポットだけではなく、生活に近いレベルの話題にも興味が向いている。
今回の撮影は香港のテレビ局が主体となって企画したが、鹿児島側でも県だけでなく、鹿児島市、南さつま市、指宿市、薩摩川内市、出水市、枕崎市、垂水市などの各市町村と城山ホテルも全面協力した。それぞれの地域で「すごいもの」につながりのある多くの人たちの協力で、短期間での撮影が実現したという。
昼間はコンビニ、夜は酒場に変身する名山堀にある「ふとし商店」は、店主夫妻の出身地、徳之島の料理がメインで、「玉子おにぎり」「みそピーナツ」などの島料理も提供。ほかにも古民家をリノベーションした空間で、鹿児島食材を使ったカレーのみで勝負する「カレーテリア沙羅」など、鹿児島の食材を楽しめるだけではない店が登場する。食材が豊富なことを知っている撮影クルーは、「麹」「みそ」「かつお節」など、「日本の味を突き詰める」ような場所をロケ地に選んだ。
クルーが取材したかった内容の一つは日本の教育現場。どうやって日本人が育まれるかの鍵は教育現場にあるとし、全ての園児が逆立ち、跳び箱などに挑戦し、音楽などの英才教育に取り組む通山保育園や地元薩摩川内の歴史を語り継ごうと課外活動を導入する入来小学校、国内でも話題になるユニークな演技の鹿児島実業高校の新体操部の練習なども紹介。他人と協力することよりも個人の能力を高めることに力点が置かれがちな香港のクルーには、こうした「団体活動」の姿が印象的だったという。
南さつま市では老人ホームや職業支援の様子にも焦点を当てるなど、同じ高齢社会の香港も興味ある視点を入れたほか、日本で不動産の購入や賃貸を考える視点で物件を回るなどのシーンも織り込んだ。
香港人が日本について知りたい要素を多く盛り込んだ番組は7月12日までの月曜~金曜、毎夜放送される。あわせて30日14時から西九龍中心でキャストも参加する番組の関連イベントも予定されている。