湾仔の香港コンベンション&エキシビションセンターで7月17日、香港貿易発展局が主催する出版物の見本市「香港ブックフェア」が開幕した。30回目を飾る今年は世界39カ国・地域から686以上の出展者が参加し過去最多を記録。一般書籍パビリオン、国際文化ビレッジ、チルドレンズ・パラダイスやイングリッシュ・アベニューなど15のテーマゾーンに分かれ、各ゾーンで書籍を紹介するほか、セミナーやパフォーマンス、読み聞かせなど310に上るイベントを予定している。
今年のテーマは「SFとミステリー」となっており、地元香港のSF・ミステリー作家に加え、海外からもベストセラー作家を招待し、「the World of Knowledge Seminar Series」と題したセミナーを開く。注目はKADOKAWAの招待で来港が実現する、「告白」「贖罪」などの作品で知られ、「本屋大賞」「日本推理作家協会賞」など数々の受賞歴、受賞候補歴のあるミステリー作家の湊かなえさん。人間の負の部分に切り込み、人間性の醜さを頻繁に取り上げる湊さんの作品は読んだ後、嫌な気分になりながらも、その深い心理描写に読む手を止められないミステリーとして「イヤミス」というジャンルを築き上げた。7月21日15時からのセミナーでは、湊さんの作品にモデレーターの健吾さんが切り込む。
在香港・マカオフランス大使館が招待したのはフランスのベストセラーSF作家のベルナール・ウェルベルさん。デビュー作の「蟻(あり)」は30言語に翻訳され、世界で累計3000万部以上を売り上げた大ベストセラー。ウェルベルさんの作品ではアリや他の生物の視点を使って世界を捉える哲学的な独特な世界観が展開される。ウェルベルさんのセミナー「Reality vs. Fantasy: How to develop imagination?」では、その世界観の想像力の源についてなど、作家の秘密を「惜しみなく紹介する」という。セミナーは7月21日18時から。
国際文化ビレッジではフランス、ドイツなどと並び、JNTOが今年もジャパンパビリオンを出展。14の都道府県がJNTOやKADOKAWAと連携し、ジャパンパビリオン内で地元を紹介する書籍などを通じてアピールする。アニメや漫画で知られる名所のバーチャルツアー体験なども用意。新しい訪日キャンペーンのテーマ「日本總有再去的理由(日本にはいつももう一度訪れる理由がある)」をスタートしたJNTO香港の薬丸裕所長は「JNTOは香港ブックフェアを皮切りに、日本が全ての香港人に、生涯に渡って愛され続けられるよう、さまざまなプロモーションを展開していく」とコメントを寄せる。
開催時間は10時~22時(19日・20日は10時~24時、23日は9時~17時)。入場料は、大人=25香港ドル、子ども=10香港ドル。今月23日まで。