中環(Central)のフュージョンのレストラン「SEVVA」(25/F., LANDMARK Prince’s, 10 Chater Road, Central, Hong Kong Tel 2537 1388)が内部の大改修工事を終え、10月3日、リニューアルオープンした。改装後もラグジュアリーを前面に打ち出した演出を施している。
2008年4月、現在の場所に開業したSEVVAのオーナーは郭志怡(Bonnae Gokson)さん。郭ファミリーは百貨店「永安百貨」を経営するほか、実姉は有名ブティックの経営を手掛けたことがあるなど、香港で名前が広く知られている。
永安百貨の創業者である郭楽(James Gock Lock)さんと弟の郭泉(Philip Gock Chin)さんの2人は1800年代に広東省で生を受け、果物や金の取引で財を成した。1800年代後半は世界の列強が清朝を侵略し国内は混乱していたことから郭兄弟は香港に移住することを決断。1907年8月に上環(Sheung Wan)に百貨店「永安公司」を開く。当時の香港市民にとってワンストップで買い物できる店は画期的だった。
裕福な家に生まれた郭志怡さんの姉である郭志清(Joyce Ma)さんは1970年、夫の馬景華さんと一緒に文華酒店(現マンダリンオリエンタルホテル)に出店した高級ブランドを扱った「Joyce Boutique」の創業者として知られている。10歳以上年上の姉の事業の成功は憧れであり、Joyceで働くことになる。郭志清さんはバイヤーやビジュアルマーチャンダイジングに力を入れた。これらの実績が評価され1997年、シャネルからヘッドハンティングされ、アジア太平洋地区の總監としてシャネルの拡大に務めた。その後シャネルを退き、Joyceがカフェを運営していたことやファッションとカフェは親和性が高く、参入障壁も低い飲食業界に進出し始めていたことから、自分スタイルのレストランを作ることを決意。それがSEVVAだった。
改修後の店の広さは以前と同じ2万2000平方フィート。改修にはオーストラリアのデザイン事務所にインテリアデザインを依頼し、工事には4カ月を要した。席数はハーバーサイド110席、バンクサイド60席、バー10席、ラウンジ40席の計220席。床は全面的に刷新した。
ダイニング用のハーバーサイドは天井の一部を吹き抜けにして高さ20フィート(約6メートル)のもう一つの天井を設け、そこからシルクで作った花を10万本つり下げ、さらに高さ1.7メートルのシャンデリア36個も設置した。シャンデリアに付いているクリスタルは10種類以上の形状があり、色は20種類、数は7万6000個もあるという。「テイストバー」と呼ばれるバーは、改修前よりも規模を拡大。金箔を壁からライトのソケットに至るまで多用して高級感を演出する。
料理は、両親が日本人の日系アメリカ人で、現在はオーストラリアに「SOKYO」など店舗の店を構えるチェイス・コジマさんに依頼した。「THE GREEN SOUP」(160香港ドル)はブロッコリー、アスパラガス、クレソンを使った緑色のスープ。少量の油で炒めたガルーパをゴマとポン酢で味付けした「Pan-fried Coral Garoupa」(520香港ドル)、「WOK-FRIED BOSTON LOBSTER」(790香港ドル)は赤みそと一緒に炒めたロブスターにのりが付くというユニークな一品だ。A4の和牛のテンダーロインのステーキ「JAPANESE WAGYU TENDERLOIN A4」(790香港ドル)や台湾料理からヒントを得たものなど西洋と東洋の融合した料理を提供する。
営業時間は、ランチ=12時~14時30分、アフタヌーンティー=14時30分~17時、ディナー=18時~22時30分(月曜~金曜)、深夜ディナー=22時30分~翌2時(木曜・金曜)。土曜はランチ=11時~15時、アフタヌーンティー=14時30分~17時30分。ディナーと深夜ディナー=木曜・金曜と同じ。